「今から誤魔化すなんて、難しいですよ」
　石神とファストフード店の片隅で、
ある種の変な話をしていた。
もう既に主食は食べた後であり、
机の上はもぬけの殻である。
時刻は２０時を超えていた。
「そうだよな、なんだって思い出せないんだからな」
「自分もその場にいたんですけど、
一切記憶がないんで、この件はもう打ち切りで」
「現実的にはそうだよな。書きようがない」
「それにしてもあそこから、
七人の遺体が出てくるなんて思わなかったっすよね」

＊
　
　なぜか我々は目を覚ますと公園にいたという。
公園といっても大きな公園で遊具が
たくさんある場所である。
何を追っていたのかすらわからない。
ただ、何かを追っていたのだろう。
近くには何故か市役所の人間と美麗と
名乗る女性がいた。
対する私は砂場の近くで発見され、
石神は草木の茂る場所にいた。
　そんなある時、我々の事務所にとある人物が訪れた。インターフォンの音が鳴り、男性が入ってくる。
彼の名は増沢博嗣という。