期限付きな恋 一話

[一ヶ月前]
四時間目に、大雪が降ってきた。早く帰るように言われた私たちは、雪が少し積もった道を彼氏の光くんと歩いて帰っていた。大体の人は近くに住んでいるから、クラスの大半の人はいた。そんな時に、小さな男の子が道を渡る途中で転けてしまった。そんなとき、咄嗟に助けに行ったのが、光だ。近くから車が雪で滑ってブレーキが効かないまま、近づいてきていると知らずに。
「光、危ない!」
私が叫んだ。光は、小さな男の子を私たちの方に押した。彼は、私に向けて「大丈夫だから!」と叫んで、こっちに一歩踏み出そうとした、その瞬間。
「バン!」
急な鋭い音。割れるガラス。何が起きたのか、さっぱり分からなかった。脳内に入ってくるのは、止まった車。倒れている光。という事実。何が起きたのか分からないまま、私は走っていた。
「光、光!」
今日習った心臓マッサージの方法。それをこんな早くに使うなんて。私は、光に心臓マッサージをしていた。気づいたら、体が動いていた。でも心臓マッサージは全く効かなかった。救急車が来た時には、もう遅かった。
「佐久間光くんは、昨日、みんなも見たと思うけど、亡くなりました。」
担任の先生の言葉は、私の耳には入ってこなかった。教室に響き渡る先生の声。そして、全員無言ななか、私は泣き叫んだ。