2022/08/18 miso/NAファーストライブ「懺悔」は、体調不良により中止となりました。ファンの皆様に大変なご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。



ライブのチケット代が帰ってきたので、その金で別のライブを取ろうとして──辞めた。

ここ数年の彼女を追っていて、彼女の手から生まれる作品が、一つも楽しそうではないことに気付けるのは、俺の他に誰がいるのだろうか。

「世界で一番幽霊に近い君」は、本来美園先輩と、俺──宮前祐の合作だった。二人しかいない部室で、平日のフードコートで、コンビニのイートインで、笑いながら書いた物語。

オカルト知識と、そして単純な文章のセンスの差で、だんだんと彼女が書く比重が重くなって、最後の方はほとんど彼女しか書いてなかった。だからこそ、出版社から声がかかった際は彼女一人に任せたのだけど。

書籍版の「世界で一番幽霊に近い君」では、web版にはなかったシーンやセリフが追加されている。原型を飽きるほどに見た俺は、だからこそその差異がいやに記憶に残っていて。

物語の終盤、主人公の鷺沼喜一は病室で彼女にこう叫ぶのだ。

「呪いくらい、いくらでも一緒に背負いますよ。だってそんなものないから」

……「ヨキミ」のヒロインは、彼女がなりたい理想像だそうだ。じゃあ、主人公は?

俺にはもう吐けない台詞を吐ける彼は、やはり俺とは違うのだろう。