はじめに、カナミの当時の外見や服装などについて簡潔に説明する。

 名前/高橋カナミ
 年齢/十■歳
 職業/学生(私立■■■■高等学校 ■年■組)
 身長/一五七センチ
 体重/四十九キロ
 髪/色は黒 肩口までのボブカット
 服装/濃紺ブレザー 白ワイシャツ グリーンのチェック柄ネクタイ ブレザーと同じ濃紺スカート 黒の革靴
 持ち物/通学鞄(革製) 猫の刺繍が入ったランチバック 定期(交通系ICカード)
 特徴/歩く際上半身が左側に少し傾いている 笑うとえくぼができる 首の右側面にほくろが三つ並んでいる
 住所/東京都■■区■-■-■■■(※1)


 カナミの最も特徴的な部分は、歩くときの癖だ。上記「歩く際上半身が左側に少し傾いている」にあるように、彼女は真っ直ぐに歩いても上半身が左へと傾く。これは幼い頃大怪我をしたことで、足に違和感を残したことによるものだ。傷は見た目にはわからない程度で、痛みもないため後遺症とまでは言えないものである。歩くことや走ることに支障はなく、むしろ体育は得意なようだ。(※2)

 視力が下がってきているものの、メガネやコンタクトを身に着けることを嫌っている。ゆえに遠くのものを見ようとすると、目を細めることがよく見られる。さも睨んでいるかのように感じられることから、いなくなる少し前から眼鏡を受け入れようかと考え直す発言が見られた。コンタクトという異物を目に入れることが怖かったようだ。しかし眼鏡を作ることはなく、いなくなったときも裸眼のままであった。

 私服は動きやすいものを好み、レースやリボンといった可愛らしい雰囲気の洋服はあまり持っていない。友人と出かけるときもシャツとデニムズボン、スニーカーといったボーイッシュな方向性が多いようだ。制服については、スカートを一段たくし上げて短くしているが、ことさら着崩すことはしていない。雪が降る気温でも、スカートの下にジャージーを履くことを避けており、服装にかんする校則を積極的に破るといった行動は見られなかった。

 性格はどちらかと言えば外向的で、友人と遊びに行くときには毎日でも出かけていく。家にこもる場合でも、携帯電話を常に持ち歩き、友人とのメールに勤しんでいたようだった。学校の教職員とも良好な関係を築いているようで、担任教諭の誕生日祝いを友人と計画したこともあったという。ただし初対面の相手との会話はあまり得意ではなかった。(※3)

 会話は受け身であることが多い印象だ。家族でいる際、わたしや母、父が話していても、カナミは聞き手に回る場面がよくみられる。友人との会話でも同じ状況であることが推察される。自分の話をするのがあまり得意ではなかったのだろう。だが手紙やメールを書くのは好きなようで、授業中に隠れて友人と交わしたというメモ用紙の束を見せてくれたことがある。年賀状も印刷済みの市販のものやスタンプなどを使わず、自筆で書き上げていたようだ。(※4)

 学校の成績は中程の順位で、得意科目である現代文と古文、体育、英語については上位グループに属している。しかし不得意な理数系科目については難ありで、数字を見るだけで嫌な気分になるようだ。大学受験については、理数系の試験を受けなくていい大学や入試方法を検討していたと聞いている。いなくなった時点では英語に関心があったようだ。(※5)

 交友関係は学校の繋がりが基本のようだった。インターネット上での付き合いはあったかもしれないが、わたしからは確認できなかった。だがいわゆる「オフ会」のようなものに関心を持ったり出かけたりすることはなかったため、インターネット上の知り合いがいたとしても実際に会うことはなかったと思われる。(※6)
 
 健康面は歩きかたに特徴があることと視力の低下以外に、持病といった特筆すべき点はない。中学二年生と三年生のとき、一年間一日も休まなかったことで皆勤賞を授与されたことがあるようだ。
 
 カナミについて簡潔にまとめよう。

 ・十代の高校生であった。
 ・怪我の影響で歩きかたに特徴がある。
 ・服装はラフで、ボーイッシュなものを好む。
 ・社交的であるが、会話は得意ではない。
 ・文章における交流を好む。
 ・英語に関心があり、得意科目であった。
 ・交友関係は狭い。
 ・健康面に不安はない。

 以上が彼女を見いだすための要点だと考えられる。(※7)
 
 次に、わたしたち高橋家について説明する。
 

 
 ※1 現住所とは異なる。
 ※2 二〇■■年現在も同様の歩きかたである。
 ※3 過去のことである。
 ※4 話を聞いてもらう方法として文字は優れている。
 ※5 実際には日本文学科を専攻した。
 ※6 正確である。
 ※7 見いだす必要はない。