場所 私立■■■■高等学校前
 日時 二〇■■年二月十五日
 対象 カナミの同級生 マイさん、ユキさん(共に仮名)

 カナミとよく行動を共にし、中学からの親しい間柄であるマイさんとユキさんに聞き取りを行った。
 

 わたし「こんにちは、今日は呼び止めてごめんなさい。カナミと仲のいい二人には、どうしても確認したくて……」

 マイ「いえ……」(隣のユキに視線を送る)
 ユキ「ええと、あの、カナミのお姉さん。確認ってカナミのことですか?」

 わたし「そうです。去年の十一月二十八日のことだから、あんまり覚えてないかもしれないですけど、カナミに変わったこととかありませんでしたか?」

 マイ「そう言われても……。特には、ねぇ」
 ユキ「(何度か頷きながら)いつもと変わらなかったと思います」

 わたし「カナミに悩んでる様子とかは……」

 マイ「えー、まあ小テストとか多いから、それで勉強大変っていうのはあると思います。でもそれってわたしたちもですし……」

 わたし「ですよね。わたしも卒業生だからわかります。英語とか、毎回単語テストとかあって」

 マイ「(笑って)そうなんですよねー」

 わたし「毎回だとうんざりしますよね。ところで、カナミとは普段どんな話をするんですか?」

 ユキ「え……(戸惑った様子で)言わなきゃだめですか?」
 マイ「超どうでもいいっていうか、すごい普通っていうか……他愛もなさすぎて覚えてないレベルなんですけど」
 
 わたし「なるほど。じゃあ十一月二十八日以降、気になることはありますか?」

 マイ「その日以降……あのー、そうですね(視線をためらう様子でわたしに向けて)……でも、カナミが心配です」
 ユキ「わたしも……色々あるんだなって思いますけど、やっぱり……どうしよう……(マイと視線を交わして)あの、お姉さん……あ、いえ。なんでもないです」

 わたし「そうですか。じゃあ最後に、最近のカナミを、どう思いますか?」

 マイ「……いつもどおり、一緒にいて楽しいなって思いますよ」
 ユキ「変わったことはないです……」


 以上が聞き取った内容である。(※1)
 
 マイさんとユキさんには、以前のカナミと現在のカナミの変化を読み取れていないようだ。

 友人とはなんなのだろうか。(※2)


 
 ※1 マイとユキには姉のおかしさを相談していたよ。意味不明な質問にとっても困ったみたいだね。
 ※2 友人って心配してくれる存在なんじゃないかな。たとえば姉が奇行を繰り返したときとかにさ。