ここでは簡単な異世界に行く実験のいくつかをまとめて記載する。


 実験日 二〇■■年八月九日から八月十五日
 実験内容 深夜二時に脱衣所の鏡と手鏡を合わせ鏡にする。
 成功条件 異世界に繋がる。

 実験結果 失敗。

 この方法では合わせ鏡が異世界に通ずると言われている。深夜に合わせ鏡をする行為はやや呪術めいてはいるものの、効果は見られなかった。またこの時間に合わせ鏡をすると、自分の未来や過去が見えるという話もあるようだが、こちらも失敗した。手鏡は四角や丸といった形、大きさに違いを持たせてみたが、意味をなさなかったようだ。(※1)

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 実験日 二〇■■年八月十六日、八月二十日、八月二十三日
 実験内容 深夜二時■■分に浴室内の鏡と手鏡で合わせ鏡を作る。
 成功条件 とりか駅にたどり着く。

 実験結果 失敗。

 こちらは鏡が異世界に通じているのではなく、悪魔が現れると言われているようだ。その悪魔と目を合わせることができれば望む世界に行けると伝えられている。実際には悪魔の姿は見えず、鏡の種類に変更を加えたが変化は見られなかった。(※2)

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 実験日 二〇■■年八月二十日
 実験内容 満月に向かって行きたい世界を■回声に出して唱え、眠る。
 成功条件 とりか駅にたどり着く。

 実験結果 失敗。
 
 午前六時五分に起床し確認したが、周囲やカナミ自身に変化は見られなかった。満月ではなく晴れて月が見える夜でもいいとされているが、■日間連続で行わなければならなかった。天気予報では■日間晴れ続ける日がなかったため、可能な時期まで待つこととする。(※3)

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 実験日 二〇■■年七月一日から七月九日
 実験内容 「とりか駅のある世界」と書いた紙を指輪状に丸め、右手の■指、左手の■指、利き手の■指につけて眠る。
 成功条件 とりか駅のある世界にたどり着く。


↑作成した指輪

 実験結果 失敗。

 日によってつける指を変更してみたが、周囲に変化は見られなかった。またこの方法は異世界とはやや趣が異なる「■■■に行ける方法」ともされているようだ。いずれにしろこの方法では異なる世界に行くことは困難だと考えられる。(※4)
 
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 実験日 二〇■■年一月十二日から二月一日
 実験内容 手首に「■■■■■■」と書いて眠る。
 成功条件 とりか駅のある世界にたどり着く。

 実験結果 失敗。

 並行世界に行ける方法として伝えられているが、変化は見られなかった。しかし手首に数字を書くという簡単な工程のため、今後も実験することはあるだろう。(※5)

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  実験日 二〇■■年六月から現在まで
 実験内容 ■■神社で授かった「■■祈願」のお守りの中に「■■■■」と書いた紙を入れ、常に持ち歩く。
 成功条件 とりか駅にたどり着く。

 実験途中経過 年間単位で持ち歩いているが、現在のところ効果は見られない。「■■祈願」では難しいのかもしれない。複数のお守りを持つのは逆効果であるという話があるため、別のお守りに変更することも検討している。(※6)



 ※1 それはうそだもの。
 ※2 悪魔はいない。
 ※3 月なんてただの地球の衛星だよ。
 ※4 それには成功のひみつがあるよ。おしえない。
 ※5 あぶなかった。
 ※6 あっちに行ける方法じゃないよ。あれから守るやつ。