実験期間 二〇■■年十一月二十日から十二月十日
 実験方法 「■■■■法」を用い、明晰夢を見る訓練から開始する。
 成功条件 とりか駅にたどり着く。

 夢を夢であると自覚する明晰夢をわたしは見たことがなかった。そのため明晰夢を見るための訓練として「■■■■法」を採用し、期間中毎日実験を試みた。「■■■■法」は一九■■年に■■■■博士が提唱した方法である。あらかじめ見たい夢をイメージして眠り、■時間後に一度起床する。もう一度眠る前に「次に見る夢では、夢の中にいると自覚する」と強く意識する。これによって明晰夢を見る確率が上がると言われている。

 見たい夢を「とりか駅」に設定し、眠る前に「カラフルな人」に電車内に見つけることや、カナミが最後に利用した■■■駅をイメージすることとした。

 二〇■■年十一月二十一日 ■時間後に起床し寝直すも、夢を見た覚えがない。
 二〇■■年十一月二十二日 夢を見た気がするが、記憶に残っていない。
 二〇■■年十一月二十三日 夢を見たが、夢である自覚を持てなかった。また、夢は無関係なものであった。
 二〇■■年十一月二十四日 夢を見たが、自覚を持てなかった。
 二〇■■年十一月二十五日 夢を見た。夢である気がしたが、そこで目が覚めてしまった。
 二〇■■年十一月二十六日 夢を見た。自覚を持てなかった。
 二〇■■年十一月二十七日 夢を見た気がするが、前日が多忙だったためか覚えていない。
 二〇■■年十一月二十八日 夢を見た。自覚を持てた気がするが、記憶が曖昧だ。
 二〇■■年十一月二十九日 夢を見た。自覚を持てたと思ったが、すぐに目が覚めた。
 二〇■■年十一月三十日 夢を見た。カナミの夢を見た。現実のカナミとは違った。
 二〇■■年十二月一日 夢を見た。カナミの夢を見た。
 二〇■■年十二月二日 夢を見た。自覚をし、カナミと遊んだ。だがとりか駅ではなかった。
 二〇■■年十二月三日 夢を見た。自覚をし、カナミと高校に通う。とりか駅でなくてもいいのかもしれない。
 二〇■■年十二月四日 夢を見た。自覚をし、カナミと電車に乗る。可能性が見えてきた。
 二〇■■年十二月五日 夢を見た。自覚をし、カナミと電車に乗る。■■■駅らしき駅に着くも、とりか駅ではなかった。
 二〇■■年十二月六日 夢を見た。自覚をし、カナミと電車に乗る。とりか駅ではなかった。
 二〇■■年十二月七日 夢を見た。自覚をし、カナミと電車に乗る。カラフルな人は見当たらない。
 二〇■■年十二月八日 夢を見た。自覚をし、カナミと電車に乗る。やっと自由に発言できるようになる。
 二〇■■年十二月九日 夢を見た。自覚をし、カナミと電車に乗る。カナミと共にとりか駅らしき駅で降り、外に出た。
 二〇■■年十二月十日 夢を見た。自覚をし、カナミと電車に乗る。電車に乗り続け、降りることはできなかった。


 当初「■■■■法」には懐疑的ではあったが、実験期間の中盤には夢の中で夢である自覚を持ち始め、その後すぐに自覚を持てるようになった。個人差はあるだろうが、「■■■■法」を用いた明晰夢を見る方法は有用といえるだろう。(※1)

 実験の目的はとりか駅に着き、本物のカナミに何が起きたのかを明らかにすることである。夢を用いて「とりか駅」が存在する世界に入り、カナミとの再会を目指した。実際にカナミと会話をすることができるようになった一方、とりか駅にたどり着いた実感を得ることはできていない。しかし実験期間後も続けることに意義があると判断し、折を見て明晰夢を用いることとする。(※2)

 ただし、現実なのか夢なのか判断が曖昧になる瞬間が増えてきたため、一時的に「■■■■法」を中断する。再開時期は二〇■■年二月を予定している。(※3)



 ※1 あくまで夢を見る方法。
 ※2 あくまで夢でしかないし、夢に出てくるのは自分の理想じゃないの?
 ※3 結局できなかったね。おかしくなってたもんね。