第一回実験日 二〇■■年九月八日
実験方法 ■■■■マンションのエレベーターに一人で乗り込み、■、■、■、■、■階に移動。■階に着いたら乗ったまま■階に■■。■階で女性が乗り込んだ場合、彼女には話しかけず■階に。■階に着いたら乗ったまま■階に■■■■。
成功条件 ■階を過ぎる。
実験結果 失敗。自宅から徒歩十五分の住宅街にある■■■■マンションは十■階建てであり、深夜になると人気はなくなる。そのため午前二時にエレベーターに乗り、手順どおりに行動をした。しかし女性が乗ってくるという■階には誰もおらず、そのまま最後の手順まで行動するも現状に変化はなかった。
第二回実験日 二〇■■年九月二十一日
実験方法 前回と同じ。
成功条件 ■階を過ぎる。
実験結果 失敗。前回同様午前二時にエレベーターに乗り、手順通りに行動した。しかし■階に着いた際住民の男性と遭遇する。第三者が乗ってきた場合は失敗となるため、この日は断念した。
第三回実験日 二〇■■年九月二十九日
実験方法 前回と同じ。
成功条件 ■階を過ぎる。
実験結果 失敗。すべて手順どおりに実行できたが、女性は現れなかった。■階を過ぎ最上階でエレベーターを降りた後にも変化は見られなかった。翌日カナミと会話をしたが、彼女にも異変はなかった。
第四回実験日 二〇■■年十月三日
実験方法 女性が乗ってくるとされる■階を、■階ではなく■階で停止する変更を加える。その他は同じ手順とする。
成功条件 ■階を過ぎる。
実験結果 失敗。■階で停止しても女性は乗ってこなかった。この日は二度手順を繰り返したが、二度とも女性は現れず、変化は見られないままだ。
第五実験日 二〇■■年十月二十二日
実験方法 第一回の手順に戻す。
成功条件 ■階を過ぎる。
実験結果 失敗。手順を最初と同じにするも、女性は乗り込んでくることはなく、周囲に変化もなかった。当該マンションのエントランスの掲示板に、「深夜に住民以外の女性が現れるようになった」旨の注意喚起の張り紙を見つける。おそらくわたしのことだろう。
マンションへの出入りに危険が伴うと判断し、これ以上の実験を断念した。■階以上の建物を探したが、自由に出入りできる場所は■■■■マンション以外には見当たらなかった。より高層のビルは都内にいくつもあるが、セキュリティの問題を解消する方法が思い至らなかった。これ以上実験を重ねる意義にも疑問点が残るため、全五回の実験となった。
総合的にエレベーターを利用した異世界に行く方法は虚偽、あるいは実験-1と同じように条件が揃っていないと考えられる。■階、あるいは■階において女性が乗り込むという話だが、女性ではないという説もあり手段として曖昧な部分が残る印象だ。より正確な方法を模索する必要性があるだろう。(※)
※ そこに地下はある? その地下は何階まで? そばに何がある? あれは持った? あれはすませた? そうじゃないのなら、ざんねん。



