Aのことが心配で仕方がなかったですが、彼女が応援してくれていた就活だけは何とか続けていました。
そんなある日、某出版社の社内ツアーに参加しました。
すると、ツアー中、ある部署のホワイトボードに「✕月✕日○○村『恵比寿祭』の取材」と書かれているのを発見しました。聞くと、そこはオカルト雑誌を扱う部署だということです。
ツアー終了後、案内人の方と就活状況の話で盛り上がったので、先ほどのホワイトボードの文字について再度聞いてみると、オカルト雑誌に興味があると思われたのか、担当者に繋いでくれると言ってくださいました。
しばらく待っていると、先ほどの取材を担当されたWさんという若い男性記者の方がいらっしゃいました。
「いやー、まさかうちの部署に興味を持ってくれる子がいるなんて。物好きな子もいたもんだね」
Wさんは席にドカッと座り、ニカニカ笑いながら話始めました。
Wさんによると、この出版社のオカルト雑誌編集部はほぼ窓際化しており、掲載内容も編集長の趣味嗜好に偏っているため、売れ行きはあまり良くないそうです。(実際、私も聞いたことのない雑誌名でした)
一方的に話し続けるWさんに圧倒されつつも、私は思い切って、「恵比寿祭」について聞いてみました。
すると、Wさんは
「ああ、あれね。うちの編集長が民俗学…の中でも民間信仰っていうの? そういうのが好きでさ。あの『恵比寿祭』ってのも、ネットのオカルトマニアの中ではちょっと有名な話らしくて。それを聞きつけた編集長が、『次の特集はこれでいくぞ!』って息巻いちゃって。でもまあ、結局大して情報も集まらなくて没になっちゃったんだけどね」
と苦笑していました。
重要な手がかりが掴めるかもしれないと考えていた私は、「大して情報も集まらなかった」という彼の言葉に内心がっかりしてしまいましたが、
「でも、なんでそれが気になったの? あ、もしかして君も編集長みたいな民俗学好き?」
というWさんの質問に、就活の疲れとAの消息が掴めない焦りからか、気付けば今までのことをWさんに全て話していました。
Wさんは先ほどとは打って変わって、真剣な表情を浮かべながら私の話を聞いてくれました。そして、私が話し終わると、
「そっか、事情はわかった。確かに村の名前も、祭りの名称も僕が取材していたものと同じだ。うーん、何か協力してあげたいけど……。あ、そうだ。今回の取材資料、良かったら見てみる? って言っても、ちゃんとした取材ができたのは一つだけだけど」
とWさんの口から思わぬ提案が飛び出しました。
取材資料を一介の大学生なんかにうかうかと渡してしまっていいのかと疑問には感じましたが、今はどんな情報でも欲しかったので、その提案に甘えさせていただくことにしました。
後日、Wさんからメールで音声データのファイルが届きました。内容は、まさにネットの掲示板にあるような現実のこととは思えないようなものでしたが、もしこれが本当だとしたら……と恐ろしくなりました。
最後に、Wさんが取材先に掲載の許可を取って下さったそうなので、音声データを書き起こしたものを以下に載せたいと思います。少しショッキングな内容も含まれていますので、苦手な方はご注意下さい。
そんなある日、某出版社の社内ツアーに参加しました。
すると、ツアー中、ある部署のホワイトボードに「✕月✕日○○村『恵比寿祭』の取材」と書かれているのを発見しました。聞くと、そこはオカルト雑誌を扱う部署だということです。
ツアー終了後、案内人の方と就活状況の話で盛り上がったので、先ほどのホワイトボードの文字について再度聞いてみると、オカルト雑誌に興味があると思われたのか、担当者に繋いでくれると言ってくださいました。
しばらく待っていると、先ほどの取材を担当されたWさんという若い男性記者の方がいらっしゃいました。
「いやー、まさかうちの部署に興味を持ってくれる子がいるなんて。物好きな子もいたもんだね」
Wさんは席にドカッと座り、ニカニカ笑いながら話始めました。
Wさんによると、この出版社のオカルト雑誌編集部はほぼ窓際化しており、掲載内容も編集長の趣味嗜好に偏っているため、売れ行きはあまり良くないそうです。(実際、私も聞いたことのない雑誌名でした)
一方的に話し続けるWさんに圧倒されつつも、私は思い切って、「恵比寿祭」について聞いてみました。
すると、Wさんは
「ああ、あれね。うちの編集長が民俗学…の中でも民間信仰っていうの? そういうのが好きでさ。あの『恵比寿祭』ってのも、ネットのオカルトマニアの中ではちょっと有名な話らしくて。それを聞きつけた編集長が、『次の特集はこれでいくぞ!』って息巻いちゃって。でもまあ、結局大して情報も集まらなくて没になっちゃったんだけどね」
と苦笑していました。
重要な手がかりが掴めるかもしれないと考えていた私は、「大して情報も集まらなかった」という彼の言葉に内心がっかりしてしまいましたが、
「でも、なんでそれが気になったの? あ、もしかして君も編集長みたいな民俗学好き?」
というWさんの質問に、就活の疲れとAの消息が掴めない焦りからか、気付けば今までのことをWさんに全て話していました。
Wさんは先ほどとは打って変わって、真剣な表情を浮かべながら私の話を聞いてくれました。そして、私が話し終わると、
「そっか、事情はわかった。確かに村の名前も、祭りの名称も僕が取材していたものと同じだ。うーん、何か協力してあげたいけど……。あ、そうだ。今回の取材資料、良かったら見てみる? って言っても、ちゃんとした取材ができたのは一つだけだけど」
とWさんの口から思わぬ提案が飛び出しました。
取材資料を一介の大学生なんかにうかうかと渡してしまっていいのかと疑問には感じましたが、今はどんな情報でも欲しかったので、その提案に甘えさせていただくことにしました。
後日、Wさんからメールで音声データのファイルが届きました。内容は、まさにネットの掲示板にあるような現実のこととは思えないようなものでしたが、もしこれが本当だとしたら……と恐ろしくなりました。
最後に、Wさんが取材先に掲載の許可を取って下さったそうなので、音声データを書き起こしたものを以下に載せたいと思います。少しショッキングな内容も含まれていますので、苦手な方はご注意下さい。
