2024/09/13 土曜日
てんとせんをむすぶの。
てんとせんをたどるの。
あざはるさまは、じめんのなかから、とちのなかから、みんなをすべるもの。
うめられたおともだちが、あたらしいあざはるさまのちからになる。
あざはるさまはさみしがりや。
だからおともだちがほしい。
でもじめんがかぎられていて、じめんにうまっていて、それいじょうにねをはることができなかった。
でもね、おしえてもらったの、おまじない。
はなえちゃんとちからをあわせるおまじない。
てんとせんをむすぶの。
てんとせんをたどるの。
たどって、したにいるあざはるさまを、うえにもちあげて、のぼるの。
そうするとせんが、はしらになるの。はしらのひかりは、もっとたかくまで、とおくまでとどくの。
そのうち、もっとひろいところまでねをのばして、いまのばしょだけじゃないところまで、おともだちをさがしにいけるようになるんだよ。
エレベーターが、はしらになった。
できればもっともっと、つよいはしらにしたいな。
だからみんなにきてほしいから、あなたもおいで。
あなたのおともだちも、まってるんだよ。
***
2024/09/13 土曜日
やっぱり、あんたはこのブログを見ているんだな?
どうやってここを見つけたのかは知らない。どうやって僕のブログに、勝手に記事を投稿しているのかも。もう人間じゃないはずの存在に、どうしてそういうことができるのかも。
もう少し調べたことがある。千谷学習塾にいた、一人の女の子のことだ。
本当は子供の名前を晒すべきではないとは思うんだけれど、多分今そんなことを言っている場合じゃない。恐らく、君なんだろう?痣春様の一部になった『はなえちゃん』という女の子に引っ張られて、僕のブログに書き込んでいる人物は。
その子の名前は小学校一年生、中村紬ちゃんという。漢字が得意ではなかったけれど、お喋りが大好きな子だった。恐らく、ブログに書いてある文字がほぼ平仮名ばっかりなのもその名残なのではないだろうか。
酒屋の末子さんが、彼女のことを覚えていた。千谷学習塾に通っていた子供達の何人かは、店の軒先を掃除していた末子さんとお話する機会があったというのだ。その中に一人、一番小さくて、一番不思議なお話をする女の子がいた。その子の名前が、中村紬ちゃん。彼女は幽霊の声が聞こえると言っていた。特に、自分と年の近い子供の声をよく聞くことがある、と。
霊感と一言で言っても、その能力は様々だと聞いたことがある。
オバケが見えるといっても、それがキツネの姿に見える人もいるし、空間のゆがみとして近くできる人もいる。そして、実際見ることも聞くこともできないけれど、ただ直感的にヤバイ感じがして幽霊の有無を探知できるなんて人もいるようなのだ。
紬ちゃんの場合は、幽霊の声だけ聞こえるタイプだったらしい。
この痣春ビルに来てから、子供の声と足音をよく聞いていたようだ。特に足元からそれが聞こえてくるので、不思議に思っていたらしい。――元々、このビルの地下一階は倉庫として使われている場所だった。オバケとか関係なしに、一般人は立ち入り禁止となっていたようだ。にも拘らず、地面の下から声が聞こえてくる。勝手に子供がしのびこんでいるかも?と末子さんに言っていたらしい。
ここから先は推測だが。
紬ちゃん――あるいは紬ちゃんと先生は、地下にその声の主を確認しにいってしまった、のではないだろうか。
そして、あの石像を見てしまった。あるいは、触れてしまった。そして、痣春様に捧げられたお友達という名の生贄の一人、はなえちゃんとやらに取り憑かれたのではなかろうか。
僕が見た夢が真実ならば、はなえちゃんはあざはる様がこの土地に移るより前、辺境の村で神様として崇められていた頃に捧げられた生贄の一人だ。
そのやり方は凄惨なもの。年端もいかない女の子を穴の中に落として、その全身の骨を石のトンカチで砕いて潰していくんだから。どれだけ痛い、痛いと泣き叫んでも終わらない。半死半生になったところで生き埋めにして、その上にあざはる様の依り代となる石像を乗せる。最後に、貢ぎ物として死にかけの魚をお供えする――そういう儀式だったんだろう。
ひょっとしたら元のあざはる様も、そうやって生贄にされて殺された子供だったのかもしれない。
何にせよ、そんな恨みこもった儀式が積み重なって、あざはる様のところにはたくさんの屍が集い、力を増していったと思われる。その状態でこの土地に移されて――最悪なことに、そのご神体も信者も何もかもが空襲で焼けてしまった。そのせいで、生贄の有無も関係なく、この土地に踏み込んだ人を祟る存在になってしまったのではかろうか。
このブログを見ている、紬ちゃん。
君はもう自分が死んでいることがわかっているよな?君の話を総括するに、地下にあったあざはる様と屋上という〝点〟をエレベーターによって結ぶことで、呪いを振りまく柱を作ってしまったということなんだろう。今までは、地下という〝点〟だけだから、この土地に近づく人間を呪うだけで済んでいた。勿論それでも充分危ないことだけど、土地に『近づきさえしなければ』ある程度安全は担保されていたということではないんだろうか。例え、生贄が枯渇すると、どこからともなく土地に人を呼び寄せるような特性があったとしても、だ。
でも八年前、儀式によって柱が完成してしまった。
いや、まだ未完成なのかもしれない。でもその後も、痣春ビルに関わった人が死んでいる。それまでは、呪いを受けても後遺症が残るレベルがほとんどだったのに。恐らく――呪いが人を容易く殺せるレベルになり、そしてどんどん生贄を吸収して範囲も広くなっていっている、ってことではなかろうか。
柱がもし完全に完成してしまったらどうなるのか、考えるだけで恐ろしい。
今までは安全だった隣のビル、向かいの建物、前の通り――あらゆる場所が、痣春ビルがある場所と同じように忌み地になってしまうかもしれないのだ。
なあ、紬ちゃん、本当にそれでいいのか?
千谷学習塾がなくなってしまうのは、君と先生にとっては悲劇だったかもしれない。でも、君の言葉が正しいのなら、君達が今いる世界だって幸せじゃないんだろう?恐らく、はなえちゃんと同じ痛い思いを君達もさせられてるんじゃないのか?そんな苦しい思いをさせられてまで、その苦しい世界に閉じ込められて、君は本当に満足なのか?
これからも苦しい思いをする人を増やすつもりなのか?
それで本当にみんなが友達になれると思っているのか?
君は漢字は苦手だと言っていたけど、多分僕のブログは読めているよね。だから書き込んでいるんだろう?だったら、僕の気持ちをどうか最後まで読んで、受け取ってほしい。
マトマトと連絡が取れない。
何度メールしても、LINEしても、電話しても通じない。マトマトの知り合いの人や職場の人にもかけてみたけど、行方不明のままだ。
「あなたのおともだちもまってるんだよ」
これは、マトマトのことじゃないのか?君が、マトマトを預かっているんだろう?
頼むから、返してくれ。大事な友達なんだ。そして、これ以上恐ろしい領域を広げるのも、生贄を増やすのもやめてくれ。
ここは、生きている者達の世界なんだ。
みんな一生懸命、明日へ向かって生きているんだ。どんなに泥臭くても、みっともなくても、不憫でも。
だから。
***
縺ゅ↓繧?l/繧ょュ?荵鈴ヲャ ●曜日
あざはるさまはすごいかみさま
どこからきたのか、どこにいくのか、かみさまももうおぼえていない
ただあかい、あかい、あかいところにいる。わたしたちもあかい、あかい、あかいところにいる。
ざぶざぶざぶざぶ、うみがひろがっていて、ぼちゃぼちゃぼちゃぼちゃ、にくがおちる。そのうみに、わたしたちみんなおっこちだ。でも、おぼれなかった。うみはとってもあさかった。たってあるけた。でも。
うみにはいったら、あしがいたくなった。あしのゆびがつぶれて、あしくびがつぶれて、ふくらはぎがつぶれて、ひざがつぶれて、ふとももがつぶれた。ぐしゃぐしゃのあしで、いたいいたいっていってあるいてたら、こんどはうでがとってもいたくなった。
すごくいたくて、くるしくて、かなしかったけど、わかったの。はなえちゃんがおなじようにうみのなかにいて、ぐしゃぐしゃのてあしで、はってたから。
おともだちになるってそういうことなんだって、わかったの。おともだちになるためには、はなえちゃんや、みんなとおなじ、このせかいでぐしゃぐしゃにならないといけないの。
すごくいたくて、いやだったけど、りかいしたの。このせかいでは、そうじゃなきゃいけないってこと。そして、ときどきみえるまどから、そとのせかいをみて、よびかけるのがだいじだってこと。
よびかけて、みんなでよびかけて、あたらしいおともだちをよぶの。
そうすれば、あざはるさまがさみしくなくなって、ほめてくれる。
いたいけど、わたしも、ちたにせんせいも、みんなも、ずっとずっとずっといっしょにいられる。だれも、わたしたちにでていけっていわないの。こわくないの。
だから、いうとおりにするの。
そういう、おしごとなの。
ときどき、おとなのひとがじゃまをするけど、わたしたちはもうあざはるさまといっしょのそんざいだから、おとなのひとになんかまけたりしないんだよ。
マトマトさんがまってる。
あたらしいはしらをつくりにいこう。
あなたがくるまで、まってるからね。
***
2024/09/14 日曜日
僕達は間違っていたんだろう。
ひょっとしたら、あのリクスト自体、近所の人とかじゃなくて――痣春様とやらが僕達を引き寄せるために書いたもの、だったのかもしれない。
ブログにアクセスできるんだから、YouTubeのコメント欄にアクセスできたってなんらおかしくはないはずだ。
でもって、どれだけ誘われたんだとしても、引き返すポイントはいくつもあった。
少なくとも初日の段階でオバケを見てしまっているんだから、そこでやばいと思ってちゃんとやめれば良かったはずなんだ。
いや、それよりも前。やっぱり人が住んでいるかもしれないビルに勝手に入って取材なんて、それ自体が悪いことだったに違いない。本当に馬鹿だと思う。このブログを読んでいる人には、僕達を非難したい人もきっといるだろう。
でも、やってしまったことはもう取り返しがつかない。
だから今、まだ病み上がりで頭はくらくらするけど――僕は電車の中で、このブログを書いている。
ビルに入ったあとも、ギリギリまで書いて、可能な限り投稿するつもりだ。場合によっては、Twitterの投稿に切り替えるかもしれない。
書き込みが一切なくなったら、その時僕の身に何かがあったと思ってほしい。
きっとこの呪いは、僕達みたいな素人では止められないんだろう。だから、この後ちゃんと、しかるべきところに相談しようと思う。
でもまずは。
マトマトを助けるところからだ。
大事な友達だけは、なんとしても僕の手で助け出さなきゃ。きっと痣春ビルで、マトマトは待ってる。
てんとせんをむすぶの。
てんとせんをたどるの。
あざはるさまは、じめんのなかから、とちのなかから、みんなをすべるもの。
うめられたおともだちが、あたらしいあざはるさまのちからになる。
あざはるさまはさみしがりや。
だからおともだちがほしい。
でもじめんがかぎられていて、じめんにうまっていて、それいじょうにねをはることができなかった。
でもね、おしえてもらったの、おまじない。
はなえちゃんとちからをあわせるおまじない。
てんとせんをむすぶの。
てんとせんをたどるの。
たどって、したにいるあざはるさまを、うえにもちあげて、のぼるの。
そうするとせんが、はしらになるの。はしらのひかりは、もっとたかくまで、とおくまでとどくの。
そのうち、もっとひろいところまでねをのばして、いまのばしょだけじゃないところまで、おともだちをさがしにいけるようになるんだよ。
エレベーターが、はしらになった。
できればもっともっと、つよいはしらにしたいな。
だからみんなにきてほしいから、あなたもおいで。
あなたのおともだちも、まってるんだよ。
***
2024/09/13 土曜日
やっぱり、あんたはこのブログを見ているんだな?
どうやってここを見つけたのかは知らない。どうやって僕のブログに、勝手に記事を投稿しているのかも。もう人間じゃないはずの存在に、どうしてそういうことができるのかも。
もう少し調べたことがある。千谷学習塾にいた、一人の女の子のことだ。
本当は子供の名前を晒すべきではないとは思うんだけれど、多分今そんなことを言っている場合じゃない。恐らく、君なんだろう?痣春様の一部になった『はなえちゃん』という女の子に引っ張られて、僕のブログに書き込んでいる人物は。
その子の名前は小学校一年生、中村紬ちゃんという。漢字が得意ではなかったけれど、お喋りが大好きな子だった。恐らく、ブログに書いてある文字がほぼ平仮名ばっかりなのもその名残なのではないだろうか。
酒屋の末子さんが、彼女のことを覚えていた。千谷学習塾に通っていた子供達の何人かは、店の軒先を掃除していた末子さんとお話する機会があったというのだ。その中に一人、一番小さくて、一番不思議なお話をする女の子がいた。その子の名前が、中村紬ちゃん。彼女は幽霊の声が聞こえると言っていた。特に、自分と年の近い子供の声をよく聞くことがある、と。
霊感と一言で言っても、その能力は様々だと聞いたことがある。
オバケが見えるといっても、それがキツネの姿に見える人もいるし、空間のゆがみとして近くできる人もいる。そして、実際見ることも聞くこともできないけれど、ただ直感的にヤバイ感じがして幽霊の有無を探知できるなんて人もいるようなのだ。
紬ちゃんの場合は、幽霊の声だけ聞こえるタイプだったらしい。
この痣春ビルに来てから、子供の声と足音をよく聞いていたようだ。特に足元からそれが聞こえてくるので、不思議に思っていたらしい。――元々、このビルの地下一階は倉庫として使われている場所だった。オバケとか関係なしに、一般人は立ち入り禁止となっていたようだ。にも拘らず、地面の下から声が聞こえてくる。勝手に子供がしのびこんでいるかも?と末子さんに言っていたらしい。
ここから先は推測だが。
紬ちゃん――あるいは紬ちゃんと先生は、地下にその声の主を確認しにいってしまった、のではないだろうか。
そして、あの石像を見てしまった。あるいは、触れてしまった。そして、痣春様に捧げられたお友達という名の生贄の一人、はなえちゃんとやらに取り憑かれたのではなかろうか。
僕が見た夢が真実ならば、はなえちゃんはあざはる様がこの土地に移るより前、辺境の村で神様として崇められていた頃に捧げられた生贄の一人だ。
そのやり方は凄惨なもの。年端もいかない女の子を穴の中に落として、その全身の骨を石のトンカチで砕いて潰していくんだから。どれだけ痛い、痛いと泣き叫んでも終わらない。半死半生になったところで生き埋めにして、その上にあざはる様の依り代となる石像を乗せる。最後に、貢ぎ物として死にかけの魚をお供えする――そういう儀式だったんだろう。
ひょっとしたら元のあざはる様も、そうやって生贄にされて殺された子供だったのかもしれない。
何にせよ、そんな恨みこもった儀式が積み重なって、あざはる様のところにはたくさんの屍が集い、力を増していったと思われる。その状態でこの土地に移されて――最悪なことに、そのご神体も信者も何もかもが空襲で焼けてしまった。そのせいで、生贄の有無も関係なく、この土地に踏み込んだ人を祟る存在になってしまったのではかろうか。
このブログを見ている、紬ちゃん。
君はもう自分が死んでいることがわかっているよな?君の話を総括するに、地下にあったあざはる様と屋上という〝点〟をエレベーターによって結ぶことで、呪いを振りまく柱を作ってしまったということなんだろう。今までは、地下という〝点〟だけだから、この土地に近づく人間を呪うだけで済んでいた。勿論それでも充分危ないことだけど、土地に『近づきさえしなければ』ある程度安全は担保されていたということではないんだろうか。例え、生贄が枯渇すると、どこからともなく土地に人を呼び寄せるような特性があったとしても、だ。
でも八年前、儀式によって柱が完成してしまった。
いや、まだ未完成なのかもしれない。でもその後も、痣春ビルに関わった人が死んでいる。それまでは、呪いを受けても後遺症が残るレベルがほとんどだったのに。恐らく――呪いが人を容易く殺せるレベルになり、そしてどんどん生贄を吸収して範囲も広くなっていっている、ってことではなかろうか。
柱がもし完全に完成してしまったらどうなるのか、考えるだけで恐ろしい。
今までは安全だった隣のビル、向かいの建物、前の通り――あらゆる場所が、痣春ビルがある場所と同じように忌み地になってしまうかもしれないのだ。
なあ、紬ちゃん、本当にそれでいいのか?
千谷学習塾がなくなってしまうのは、君と先生にとっては悲劇だったかもしれない。でも、君の言葉が正しいのなら、君達が今いる世界だって幸せじゃないんだろう?恐らく、はなえちゃんと同じ痛い思いを君達もさせられてるんじゃないのか?そんな苦しい思いをさせられてまで、その苦しい世界に閉じ込められて、君は本当に満足なのか?
これからも苦しい思いをする人を増やすつもりなのか?
それで本当にみんなが友達になれると思っているのか?
君は漢字は苦手だと言っていたけど、多分僕のブログは読めているよね。だから書き込んでいるんだろう?だったら、僕の気持ちをどうか最後まで読んで、受け取ってほしい。
マトマトと連絡が取れない。
何度メールしても、LINEしても、電話しても通じない。マトマトの知り合いの人や職場の人にもかけてみたけど、行方不明のままだ。
「あなたのおともだちもまってるんだよ」
これは、マトマトのことじゃないのか?君が、マトマトを預かっているんだろう?
頼むから、返してくれ。大事な友達なんだ。そして、これ以上恐ろしい領域を広げるのも、生贄を増やすのもやめてくれ。
ここは、生きている者達の世界なんだ。
みんな一生懸命、明日へ向かって生きているんだ。どんなに泥臭くても、みっともなくても、不憫でも。
だから。
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縺ゅ↓繧?l/繧ょュ?荵鈴ヲャ ●曜日
あざはるさまはすごいかみさま
どこからきたのか、どこにいくのか、かみさまももうおぼえていない
ただあかい、あかい、あかいところにいる。わたしたちもあかい、あかい、あかいところにいる。
ざぶざぶざぶざぶ、うみがひろがっていて、ぼちゃぼちゃぼちゃぼちゃ、にくがおちる。そのうみに、わたしたちみんなおっこちだ。でも、おぼれなかった。うみはとってもあさかった。たってあるけた。でも。
うみにはいったら、あしがいたくなった。あしのゆびがつぶれて、あしくびがつぶれて、ふくらはぎがつぶれて、ひざがつぶれて、ふとももがつぶれた。ぐしゃぐしゃのあしで、いたいいたいっていってあるいてたら、こんどはうでがとってもいたくなった。
すごくいたくて、くるしくて、かなしかったけど、わかったの。はなえちゃんがおなじようにうみのなかにいて、ぐしゃぐしゃのてあしで、はってたから。
おともだちになるってそういうことなんだって、わかったの。おともだちになるためには、はなえちゃんや、みんなとおなじ、このせかいでぐしゃぐしゃにならないといけないの。
すごくいたくて、いやだったけど、りかいしたの。このせかいでは、そうじゃなきゃいけないってこと。そして、ときどきみえるまどから、そとのせかいをみて、よびかけるのがだいじだってこと。
よびかけて、みんなでよびかけて、あたらしいおともだちをよぶの。
そうすれば、あざはるさまがさみしくなくなって、ほめてくれる。
いたいけど、わたしも、ちたにせんせいも、みんなも、ずっとずっとずっといっしょにいられる。だれも、わたしたちにでていけっていわないの。こわくないの。
だから、いうとおりにするの。
そういう、おしごとなの。
ときどき、おとなのひとがじゃまをするけど、わたしたちはもうあざはるさまといっしょのそんざいだから、おとなのひとになんかまけたりしないんだよ。
マトマトさんがまってる。
あたらしいはしらをつくりにいこう。
あなたがくるまで、まってるからね。
***
2024/09/14 日曜日
僕達は間違っていたんだろう。
ひょっとしたら、あのリクスト自体、近所の人とかじゃなくて――痣春様とやらが僕達を引き寄せるために書いたもの、だったのかもしれない。
ブログにアクセスできるんだから、YouTubeのコメント欄にアクセスできたってなんらおかしくはないはずだ。
でもって、どれだけ誘われたんだとしても、引き返すポイントはいくつもあった。
少なくとも初日の段階でオバケを見てしまっているんだから、そこでやばいと思ってちゃんとやめれば良かったはずなんだ。
いや、それよりも前。やっぱり人が住んでいるかもしれないビルに勝手に入って取材なんて、それ自体が悪いことだったに違いない。本当に馬鹿だと思う。このブログを読んでいる人には、僕達を非難したい人もきっといるだろう。
でも、やってしまったことはもう取り返しがつかない。
だから今、まだ病み上がりで頭はくらくらするけど――僕は電車の中で、このブログを書いている。
ビルに入ったあとも、ギリギリまで書いて、可能な限り投稿するつもりだ。場合によっては、Twitterの投稿に切り替えるかもしれない。
書き込みが一切なくなったら、その時僕の身に何かがあったと思ってほしい。
きっとこの呪いは、僕達みたいな素人では止められないんだろう。だから、この後ちゃんと、しかるべきところに相談しようと思う。
でもまずは。
マトマトを助けるところからだ。
大事な友達だけは、なんとしても僕の手で助け出さなきゃ。きっと痣春ビルで、マトマトは待ってる。



