2024/09/02 火曜日
どうも、こんにちは。ユーチューバーコンビ『ロボコン』の動画編集担当、タカである。
本当はこういうブログは丁寧語で書くのがベストなのかもしれないが、僕が元々小説家志望だったこともあって、なんというか違和感がぬぐえないのでこういう書き方を許してほしい。ちょっと小説っぽい書き方をした方がこのブログの場合は臨場感も出そうだし、まあ多めに見てくれると助かる。
このブログは僕達『ロボコン』が取材した内容なんかを、動画にする前にざっと記録するためのものである。
少しでも動画編集の経験がある人はわかってくれると思うが、取材や撮影をしたら動画は終わりなんてものじゃないのだ。そのあとイラストを発注したり、BGMや効果音の素材を探してきたり、映像を編集したりとまあ手間がかかる。ゆえに、どうしても、取材してから動画にできるまで時間がかかってしまいがちだ。
よって、みんなからの要望もあり、今日からこういうブログを始めてみることにした。
ちゃんとした校正とか校閲とか通しているわけじゃないし、自分も結局小説家志望したはいいがワナビで終わっただけの底辺なので――誤字脱字とか、単語の間違いとか、言葉の使い方間違いとかいろいろあるかもしれないが、まあ多めに見てくれると嬉しい。
さて、前置きは長くなったが。
今回このブログを始めてみることにしたのは、僕達がどういう取材をしているのか動画になっていないところも知りたい!というリクエストがあったのがまず一つ。
それから、今回新しい取材を始めることになったのでせっかくなら取材メモもかねてこういうブログ記事にまとめておくのもいいかもな、と思ったのが一つある。
後で見返せば、いろいろ思い出すこともある。
昔は手帳にメモをしておいてあとで打ち直していたんだが、まあ、悲しいかな僕の字は相当汚い。相棒のマトマトがドン引きするくらいには、汚いらしい。ぶっちゃけ、僕自身が後で読み返しても全然読めなかったりして、まあ打ち直そうとしても結構手間がかかってしまうわけだ。
それなら、せっかくスマホでタッチタイピングもできるんだし、取材しながらざーっと打ちこんでしまった方がいいなと判断した。もちろん、ブログとして一般公開する時は多少チェックはかけるが、ほとんどその場で思ったことを打ちこんでたり、取材直後に思い出しながら書いている文章だと思ってくれると助かる。
さて、そろそろみんなも気になっていると思うので、オカルト探索ユーチューバーグループ『ロボコン』の新しい取材について解説したいと思う。
最近多いからみんなもお察しの通りだが、先日動画コメントで募集したリクエストの中から面白そうなものをピックアップして調査してみることにした。
今回調べてみることにしたのは、『痣春ビル』というエレベーターである。あざはるびる、と読むらしい。なんとも変な名前だ。
なんでもこのビルのエレベーター、なんかちょっとおかしいところが多い上、変な噂があるというのだ。
***
エレベーターと聴くだけで、僕は背中に鳥肌が立つような感覚がある。
子供の頃、僕はエレベーターというものが怖くて仕方なかった。小さな頃は、大人と一緒でなければ絶対に乗ることができなかった。
だってアレ、本能的に無理!っていうことはないだろうか。だって、ドアが閉まって、狭い箱の中に一時的とはいえ閉じ込められてしまうのである。でもって、窓も何もないエレベーターは非常に多い。
急にエレベーターが止まってしまったら?
そして、ドアをこじ開けてもそこが階の前でなかったら?
緊急連絡のボタンを押しても、誰も助けに来てくれなかったら?
あるいはロープが切れて、急に落下するようなことになってしまったら?
悪い想像なんて、いくらでもできる。閉じ込められるようなことが万が一あったら、絶対耐えられない。――小さな頃の僕はもう何がなんでも父か母と一緒じゃなければエレベーターに乗らなかった。住んでいたのはマンションだったし、小学校に上がってからは嫌でも乗らなければいけなくなったので震えながらもガマンしていたけれど。
ああ、ちなみに、今の人は携帯電話があるから少し安心感があるのかもしれない。でも、僕が子供の頃は、携帯なんて全然普及していなかったと言っておく。つまり、中に閉じ込められたら最後、緊急通報のボタン以外に外と連絡を取る手段なんてなかった。それがより一層、恐怖心を加速させていたと思う。
まあそうでなくても、今であっても小学生にはスマホを持たせないという親も多いんだろうが――って、こういう話をしたせいで僕の年がなんとなくわかってしまったという人、黙っていてくれると嬉しい。皆さんお察しの通り、僕はもう全然若者なんて呼べる年じゃないし、フリーターやりながら大学時代の仲間とユーチューバーやってるアレな大人であるわけだから。
「お、ここが痣春ビルかあ」
まあそういうわけで。
僕はリクエストであった通り、S県K市にある痣春ビルの住所までやってきた、というわけだ。駅からそこまで離れていない場所なので、高いビルが多く立ち並ぶエリアである。ただ、この町そのものは結構歴史が古いというか、既に廃墟となってしまっているビルや、老朽化がヤバそうなビルもいくつも存在しているのは事実だ。
痣春ビルも、そんなうちの一つだった。
現在使われているか使われていないのかもよくわからない。一応、一階には会社の名前のプレートがかかった部屋もあるっぽいけれど、既に移転しているのにプレートかけっぱなしで忘れている、って可能性もゼロじゃあないはずだ。
ビルそのものは、一応六階建てってことになっている。一応地下一階もある模様。敷地は全然広くなくて、ビルの裏手にも三台くらい車が停まれる駐車場があるけれど今使われているかはわからない。
リクエスト者はこの近所に住んでいる人らしい。駐車場は車が停まっているところを見たことはほぼないそうだ。で、悪戯半分でビルに入ってエレベーターに乗ってみたところ、なんだかおかしなことに気付いたので調べてほしいとのことだった。
「マトマト、いろいろ準備してきてる?」
僕が尋ねると、おう!とマトマトは親指を立てて笑ってみせた。そういえばみんなに話したことがあったかわからないが、マトマト、という相棒の名前の由来はその髪の毛の色である。マトマトは昔から赤が好きで、大学時代から髪の毛を真っ赤に染めてしまっていた。今も真っ赤な髪の毛のロンゲを、首の後ろでひと結びにしている。こいつを雇ってくれた某レストランのオーナーはなかなか心が広いと言わざるをえない。
ちなみに僕とマトマトはどっちも大学の同級生であり、同い年なわけだが――年相応に見られることが多い僕と違って、マトマトは赤い未だに二十代前半に見られることが少なくないそうだ。合コンで女の子に大学生ですかー?とか聞かれるらしい。イケメン羨ましすぎる。いっぺんマジで爆発してほしい。僕は高校生の時からおっさん顔だとやたら言われるタイプだというのに!
僕が尋ねると、マトマトは背負っているリュックの中を広げて見せてくれた。懐中電灯とか、スマホとその充電器とか、カメラとか、ペットボトルの飲料水とかカロリーメイトとかいろいろと。あと、効くかどうかわからないが食塩も持ってきていた。――オバケが出た時、本当に食卓の塩なんぞで効くものなんだろうか?塩が効果あるのはお寺とか神社とかでちゃんと清めてあるやつを使った場合だと思っているのだが。
「こんなかんじの装備持ってきました。あ、万が一閉じ込められた時のためにねじ回しみたいな工具とかロープもあるでよ?」
「閉じ込められた想定なんぞすんな、怖いわ!」
「でもエレベーターは閉じ込められそうでちょっと怖いつってたのタカじゃん。大丈夫大丈夫、俺はお前と違って閉所恐怖症とかじゃねえから!」
「お前な……」
まあ、このノリの軽さも、マトマトの良いところではある、のかもしれない。
さて、ここで今回僕達が以来を受けた痣春ビルのエレベーターについて、少しだけ事前情報を話しておくこととする。
依頼者によると、ここにはエレベーターが一基しかないという。まあ小さいビルだからしょうがないのだろう。階段は中に一つ、駐車場側にもう一つ非常階段があるようだ。階を移動する手段はこの三つというわけである。
さっきも言ったが痣春ビルは六階建て、多分屋上があって、どうやら地下一階もある模様。
しかし、なんでも屋上と地下一階にはどうしても行けないというのだ。リクエスト者はなんだか怖くなって、二回目以降の探索はしなかった。エレベーターに乗った時と階段を上った時、背筋を這い上がるような妙な悪寒があったという。だから、ぜひともオカルトユーチューバーであり経験豊富な『ロボコン』の二人に調べてほしい!とのことだった。
ちなみに僕達のロボコン、というコンビ名は小さい頃ロボットの玩具が二人とも好きだったから、というそれだけの理由だったりする。玩具は好きだけど、残念ながら理数系の頭脳はなかったので二人仲良く文系だ。他にもしょうもないコンビ名の候補がいくつかあったが、どれもこれも後で黒歴史になりそうだったので一番マシなやつを選んだというだけだったりする。
「まず、エレベーターに乗って調べてみるか。あ、そうだ、一回外出よう。ビルの外観撮影してなかったべ」
「やっべ忘れてた。そういや動画にするんだったもんな俺ら!」
「マトマト、僕等ユーチューバーだからね?それ忘れたらダメだろー」
僕はマトマトを肘でつっついて笑った。僕達も、ようやく少しだけ動画が回り、広告収入が入るようになってきたのである。そろそろもう少し、一発ドカンとでかいものを撮影してみんなを驚かせてみたい。いつまでも、『傷川病院で冒険してみた』動画の再生数を越えられないというのは寂しいものがある。
人に過剰な迷惑をかけたいとは思っていない。犯罪もするつもりはない。でも、それはそれとして少しでも目立って、みんなに注目されたいって気持ちは僕達にもあるのだ。
マトマトが持ってきたビデオカメラと、それから自分のスマホでいろいろ写真とか動画とか撮影している。僕も自分のスマホを構えてビルの外観を撮影した。
その写真なんかは、後で一部ここに載せようと思う。僕が見た限りでは、特に変なものが映っていたわけではないはずだ。まあ、霊感とかあるタイプではないので、多分、としか言いようがないけれど。
どうも、こんにちは。ユーチューバーコンビ『ロボコン』の動画編集担当、タカである。
本当はこういうブログは丁寧語で書くのがベストなのかもしれないが、僕が元々小説家志望だったこともあって、なんというか違和感がぬぐえないのでこういう書き方を許してほしい。ちょっと小説っぽい書き方をした方がこのブログの場合は臨場感も出そうだし、まあ多めに見てくれると助かる。
このブログは僕達『ロボコン』が取材した内容なんかを、動画にする前にざっと記録するためのものである。
少しでも動画編集の経験がある人はわかってくれると思うが、取材や撮影をしたら動画は終わりなんてものじゃないのだ。そのあとイラストを発注したり、BGMや効果音の素材を探してきたり、映像を編集したりとまあ手間がかかる。ゆえに、どうしても、取材してから動画にできるまで時間がかかってしまいがちだ。
よって、みんなからの要望もあり、今日からこういうブログを始めてみることにした。
ちゃんとした校正とか校閲とか通しているわけじゃないし、自分も結局小説家志望したはいいがワナビで終わっただけの底辺なので――誤字脱字とか、単語の間違いとか、言葉の使い方間違いとかいろいろあるかもしれないが、まあ多めに見てくれると嬉しい。
さて、前置きは長くなったが。
今回このブログを始めてみることにしたのは、僕達がどういう取材をしているのか動画になっていないところも知りたい!というリクエストがあったのがまず一つ。
それから、今回新しい取材を始めることになったのでせっかくなら取材メモもかねてこういうブログ記事にまとめておくのもいいかもな、と思ったのが一つある。
後で見返せば、いろいろ思い出すこともある。
昔は手帳にメモをしておいてあとで打ち直していたんだが、まあ、悲しいかな僕の字は相当汚い。相棒のマトマトがドン引きするくらいには、汚いらしい。ぶっちゃけ、僕自身が後で読み返しても全然読めなかったりして、まあ打ち直そうとしても結構手間がかかってしまうわけだ。
それなら、せっかくスマホでタッチタイピングもできるんだし、取材しながらざーっと打ちこんでしまった方がいいなと判断した。もちろん、ブログとして一般公開する時は多少チェックはかけるが、ほとんどその場で思ったことを打ちこんでたり、取材直後に思い出しながら書いている文章だと思ってくれると助かる。
さて、そろそろみんなも気になっていると思うので、オカルト探索ユーチューバーグループ『ロボコン』の新しい取材について解説したいと思う。
最近多いからみんなもお察しの通りだが、先日動画コメントで募集したリクエストの中から面白そうなものをピックアップして調査してみることにした。
今回調べてみることにしたのは、『痣春ビル』というエレベーターである。あざはるびる、と読むらしい。なんとも変な名前だ。
なんでもこのビルのエレベーター、なんかちょっとおかしいところが多い上、変な噂があるというのだ。
***
エレベーターと聴くだけで、僕は背中に鳥肌が立つような感覚がある。
子供の頃、僕はエレベーターというものが怖くて仕方なかった。小さな頃は、大人と一緒でなければ絶対に乗ることができなかった。
だってアレ、本能的に無理!っていうことはないだろうか。だって、ドアが閉まって、狭い箱の中に一時的とはいえ閉じ込められてしまうのである。でもって、窓も何もないエレベーターは非常に多い。
急にエレベーターが止まってしまったら?
そして、ドアをこじ開けてもそこが階の前でなかったら?
緊急連絡のボタンを押しても、誰も助けに来てくれなかったら?
あるいはロープが切れて、急に落下するようなことになってしまったら?
悪い想像なんて、いくらでもできる。閉じ込められるようなことが万が一あったら、絶対耐えられない。――小さな頃の僕はもう何がなんでも父か母と一緒じゃなければエレベーターに乗らなかった。住んでいたのはマンションだったし、小学校に上がってからは嫌でも乗らなければいけなくなったので震えながらもガマンしていたけれど。
ああ、ちなみに、今の人は携帯電話があるから少し安心感があるのかもしれない。でも、僕が子供の頃は、携帯なんて全然普及していなかったと言っておく。つまり、中に閉じ込められたら最後、緊急通報のボタン以外に外と連絡を取る手段なんてなかった。それがより一層、恐怖心を加速させていたと思う。
まあそうでなくても、今であっても小学生にはスマホを持たせないという親も多いんだろうが――って、こういう話をしたせいで僕の年がなんとなくわかってしまったという人、黙っていてくれると嬉しい。皆さんお察しの通り、僕はもう全然若者なんて呼べる年じゃないし、フリーターやりながら大学時代の仲間とユーチューバーやってるアレな大人であるわけだから。
「お、ここが痣春ビルかあ」
まあそういうわけで。
僕はリクエストであった通り、S県K市にある痣春ビルの住所までやってきた、というわけだ。駅からそこまで離れていない場所なので、高いビルが多く立ち並ぶエリアである。ただ、この町そのものは結構歴史が古いというか、既に廃墟となってしまっているビルや、老朽化がヤバそうなビルもいくつも存在しているのは事実だ。
痣春ビルも、そんなうちの一つだった。
現在使われているか使われていないのかもよくわからない。一応、一階には会社の名前のプレートがかかった部屋もあるっぽいけれど、既に移転しているのにプレートかけっぱなしで忘れている、って可能性もゼロじゃあないはずだ。
ビルそのものは、一応六階建てってことになっている。一応地下一階もある模様。敷地は全然広くなくて、ビルの裏手にも三台くらい車が停まれる駐車場があるけれど今使われているかはわからない。
リクエスト者はこの近所に住んでいる人らしい。駐車場は車が停まっているところを見たことはほぼないそうだ。で、悪戯半分でビルに入ってエレベーターに乗ってみたところ、なんだかおかしなことに気付いたので調べてほしいとのことだった。
「マトマト、いろいろ準備してきてる?」
僕が尋ねると、おう!とマトマトは親指を立てて笑ってみせた。そういえばみんなに話したことがあったかわからないが、マトマト、という相棒の名前の由来はその髪の毛の色である。マトマトは昔から赤が好きで、大学時代から髪の毛を真っ赤に染めてしまっていた。今も真っ赤な髪の毛のロンゲを、首の後ろでひと結びにしている。こいつを雇ってくれた某レストランのオーナーはなかなか心が広いと言わざるをえない。
ちなみに僕とマトマトはどっちも大学の同級生であり、同い年なわけだが――年相応に見られることが多い僕と違って、マトマトは赤い未だに二十代前半に見られることが少なくないそうだ。合コンで女の子に大学生ですかー?とか聞かれるらしい。イケメン羨ましすぎる。いっぺんマジで爆発してほしい。僕は高校生の時からおっさん顔だとやたら言われるタイプだというのに!
僕が尋ねると、マトマトは背負っているリュックの中を広げて見せてくれた。懐中電灯とか、スマホとその充電器とか、カメラとか、ペットボトルの飲料水とかカロリーメイトとかいろいろと。あと、効くかどうかわからないが食塩も持ってきていた。――オバケが出た時、本当に食卓の塩なんぞで効くものなんだろうか?塩が効果あるのはお寺とか神社とかでちゃんと清めてあるやつを使った場合だと思っているのだが。
「こんなかんじの装備持ってきました。あ、万が一閉じ込められた時のためにねじ回しみたいな工具とかロープもあるでよ?」
「閉じ込められた想定なんぞすんな、怖いわ!」
「でもエレベーターは閉じ込められそうでちょっと怖いつってたのタカじゃん。大丈夫大丈夫、俺はお前と違って閉所恐怖症とかじゃねえから!」
「お前な……」
まあ、このノリの軽さも、マトマトの良いところではある、のかもしれない。
さて、ここで今回僕達が以来を受けた痣春ビルのエレベーターについて、少しだけ事前情報を話しておくこととする。
依頼者によると、ここにはエレベーターが一基しかないという。まあ小さいビルだからしょうがないのだろう。階段は中に一つ、駐車場側にもう一つ非常階段があるようだ。階を移動する手段はこの三つというわけである。
さっきも言ったが痣春ビルは六階建て、多分屋上があって、どうやら地下一階もある模様。
しかし、なんでも屋上と地下一階にはどうしても行けないというのだ。リクエスト者はなんだか怖くなって、二回目以降の探索はしなかった。エレベーターに乗った時と階段を上った時、背筋を這い上がるような妙な悪寒があったという。だから、ぜひともオカルトユーチューバーであり経験豊富な『ロボコン』の二人に調べてほしい!とのことだった。
ちなみに僕達のロボコン、というコンビ名は小さい頃ロボットの玩具が二人とも好きだったから、というそれだけの理由だったりする。玩具は好きだけど、残念ながら理数系の頭脳はなかったので二人仲良く文系だ。他にもしょうもないコンビ名の候補がいくつかあったが、どれもこれも後で黒歴史になりそうだったので一番マシなやつを選んだというだけだったりする。
「まず、エレベーターに乗って調べてみるか。あ、そうだ、一回外出よう。ビルの外観撮影してなかったべ」
「やっべ忘れてた。そういや動画にするんだったもんな俺ら!」
「マトマト、僕等ユーチューバーだからね?それ忘れたらダメだろー」
僕はマトマトを肘でつっついて笑った。僕達も、ようやく少しだけ動画が回り、広告収入が入るようになってきたのである。そろそろもう少し、一発ドカンとでかいものを撮影してみんなを驚かせてみたい。いつまでも、『傷川病院で冒険してみた』動画の再生数を越えられないというのは寂しいものがある。
人に過剰な迷惑をかけたいとは思っていない。犯罪もするつもりはない。でも、それはそれとして少しでも目立って、みんなに注目されたいって気持ちは僕達にもあるのだ。
マトマトが持ってきたビデオカメラと、それから自分のスマホでいろいろ写真とか動画とか撮影している。僕も自分のスマホを構えてビルの外観を撮影した。
その写真なんかは、後で一部ここに載せようと思う。僕が見た限りでは、特に変なものが映っていたわけではないはずだ。まあ、霊感とかあるタイプではないので、多分、としか言いようがないけれど。



