初めてお母さんに買ってもらった可愛いブラジャー。
残念なことに抜き打ち検査で先生に没収されてしまった。短足先生が持つ道具箱の中に入っている大きなブラジャーが目立つ。
他の子たちは、特に違反してないようで俺だけ没収されたようだ。
後ろに立つ優子ちゃんも胸を短足先生に見せるため、体操服を下からめくっていたが。
藍ちゃんと違って発育の遅い優子ちゃんの胸はつるぺただ。
そのため、ファーストブラというより、ジュニアブラをつけていた。小学生みたい。
「お、桃川は中学1年生らしい胸だな。よしよし、合格と……」
「終わったなら、もう体操服をなおして良いですかっ!?」
いちいち、思っていることを口から発さないと気がすまないのか? この先生。
優子ちゃんもブチギレだよ。
※
ようやく抜き打ち検査が終わり、保健室から解放された。優子ちゃんは「今日起きた出来事を副担任の先生に抗議してくる」と職員室へ入ってしまった。
しかし、俺はブラジャーを取られたので今はノーブラだ。
このまま手を振って歩けば、藍ちゃんの大きな胸が暴れまくる。思春期の男子に見られたら色々と面倒くさい。
だから、両手で胸元を隠して歩いている。
今は生理中だし、色々と傷ついてばかりだ……。
それに男の短足先生にあの日だとバレたのも辛かった。
ノーブラで一日過ごすかと思ったら、段々と目頭が熱くなってきた。
ヤバい、泣きそう……。
そう思った時だった。反対側から甲高い声が聞こえてきたのは。
「よう、水巻!」
こちらに手を振る少年は、なぜか上半身裸で歩いていた。小麦色に焼けた肌が丸見えということだ。
もちろん夢で見たピンク色の”蕾”も二つある。なんて綺麗な色をしているんだ……。
体操服の半ズボンだけ履いてニコニコと笑って、こちらに向かってくる。
「あ、鬼塚……」
「どうしたんだ? 元気ないな」
こいつにだけは、今俺が生理中だって知られたくないな。
そう思ったら自然と視線を床に落としてしまう。
しかし、鬼塚はそんなこと気がついていないようで、いつも通り話しかけてくる。
「いやぁ~ 参ったぜ。抜き打ち検査があるとは思わなくて、肌着と体操服に”R”の文字を見つけられて没収されちまったよ。ははは!」
「え? なんで、それだけで没収されたの?」
「だってワンポイントは校則違反だろ? 仕方ないさ。本当は俺が弟の翔平と間違えないように、マジックで書いた名前の頭文字なんだけどさ。刺繍だって疑われたよ」
「それでこんな寒い中、上半身裸にされたの?」
「まあ校則だから仕方ないさ。あとで制服に着替えるし、バスケ部に行けば練習着もあるから問題ないって」
お互いノーブラの状態と言うわけか……。
なんか泣けてきた。
~翌日~
可愛いブラジャーを奪還するため、またサイズの合ってないファーストブラをつけることにした。
優子ちゃんの話では短足先生に没収されたブラジャーの入った道具箱は、職員室の一番奥。教頭先生の机の後ろに置いてあるらしい。
ということは、職員室を自由に出入りする男性教師はHカップのブラジャーを見放題の状態なんだ。
許せない。絶対に返してもらうぞ!
朝のホームルームで担任のねーちゃん先生は昨日風邪で休んでいたが、今日はちゃんと学校に来ている。
ということは、ブラジャーを返してもらうチャンスだ。
ホームルームが終わってから、すぐにねーちゃん先生に声をかける。
「あ、あの先生!」
「水巻? どうしたの?」
「昨日の抜き打ち検査でその……」
言いかけて、辺りにいた男子の視線が気になって「ブラジャー」と言えない。
しかし、ねーちゃん先生は抜き打ち検査という言葉ですぐにピンときたようだ。
「ひょっとして、没収されたの? じゃあ今日は指定されたものを着けてる?」
「はい……」
「じゃあ、ちょっと一緒に女子トイレまで行こうか」
そう言うと、ねーちゃん先生は何を思ったのか、俺の右手を掴み廊下の奥へと進んでいく。
女子トイレに入ると、二人して個室に入って先生がニコニコ笑いながら「じゃあ確認させて」と言った。
「ここで見せるんですか?」
「保健室でも良いけど、早く下着を返して欲しいでしょ?」
「はい……じゃあ」
こんな小便臭い個室で上半身裸になるとは、この時代にハラスメントという考えが無いのだろう。
頬が熱くなるのを感じながら、ファーストブラを見せるとねーちゃん先生は「よしよし」と言って頭を撫でてくれた。
「私も水巻のブラジャーを職員室で見かけたど、確かに可愛かったもんね。でも、学校ではつけちゃダメだよ? 女の子だから気持ちはわかるけど」
このあと、ねーちゃん先生は俺のブラジャーを教室まで持ってきてくれたのだが。
没収された時と同じ状態で教室に持って来たので、クラス全員の男子に俺の下着の色と柄を見られてしまった……。



