(…今日も疲れた)
履き潰されたパンプスが、疲れを訴えるかのようにひしゃげた鳴き声をあげる。同じく、会社に使い潰された私はため息をついた。社畜とはよく言ったもので、上司にこき使われ最近は退社する頃には終電ギリギリだ。
(これからもこんな日々が続くのか)
そう思うとより憂鬱になり、華金なのをいいことに少し寄り道をする事にした。コンビニで缶ビールを買い、ちょうど屋台が出ていたので焼き鳥を買った。
住宅街にポツンと佇む、小さな公園のベンチに腰を下ろした。カシュといい音がし、アルコールを体内に入れる。袋から焼き鳥を取り出し、つくねにかぶりついた。
(あぁ、頑張って生きててよかった)
焼き鳥屋の店主は気前が良く、何本かサービスしてくれた。食べきれなかったら冷蔵庫かな。
ふと、上を向いたら綺麗な満月がぽっかりと空に浮かんでいた。その美しさに、思わず感嘆のため息がでた。調べると、今日は十五夜らしい。全然気づかなかった。日々の忙しさに埋もれて、そんな事を気にする余裕も無かった。
「月が綺麗ですね」
ぽつり、独り言を呟いた。夏目漱石がこれを『愛してます』と訳した理由が、何となくわかったような気がした。
意図せず月見酒を楽しみ、私は穏やかな気持ちになっていた。なんて苦しくて、嫌な、優しい世界だろう。私をこき使う人もいれば、焼き鳥を数本サービスしてくれる人もいる。そうやってきっと、世界は回っていくのだと。中秋の名月を、ビール片手に眺めていた。
履き潰されたパンプスが、疲れを訴えるかのようにひしゃげた鳴き声をあげる。同じく、会社に使い潰された私はため息をついた。社畜とはよく言ったもので、上司にこき使われ最近は退社する頃には終電ギリギリだ。
(これからもこんな日々が続くのか)
そう思うとより憂鬱になり、華金なのをいいことに少し寄り道をする事にした。コンビニで缶ビールを買い、ちょうど屋台が出ていたので焼き鳥を買った。
住宅街にポツンと佇む、小さな公園のベンチに腰を下ろした。カシュといい音がし、アルコールを体内に入れる。袋から焼き鳥を取り出し、つくねにかぶりついた。
(あぁ、頑張って生きててよかった)
焼き鳥屋の店主は気前が良く、何本かサービスしてくれた。食べきれなかったら冷蔵庫かな。
ふと、上を向いたら綺麗な満月がぽっかりと空に浮かんでいた。その美しさに、思わず感嘆のため息がでた。調べると、今日は十五夜らしい。全然気づかなかった。日々の忙しさに埋もれて、そんな事を気にする余裕も無かった。
「月が綺麗ですね」
ぽつり、独り言を呟いた。夏目漱石がこれを『愛してます』と訳した理由が、何となくわかったような気がした。
意図せず月見酒を楽しみ、私は穏やかな気持ちになっていた。なんて苦しくて、嫌な、優しい世界だろう。私をこき使う人もいれば、焼き鳥を数本サービスしてくれる人もいる。そうやってきっと、世界は回っていくのだと。中秋の名月を、ビール片手に眺めていた。

