それから半年近く,お互いに問題なくこれまで通り一緒に食事に行ったり,デートを繰り返していたつもりだった。しかし仕事も忙しく,会う頻度はこれまで以上に少なくなっていた。
『お疲れさま。今週末,どうする?』
由香子は仕事帰りに優にLINEを送った。すぐには既読にはならなかったが,翌日のお昼休みに返信があった。
『ごめん。今週末は予定が入ってて会えない。ちょっと仕事が忙しいんで,また後で連絡する』
最近,LINEの文章の雰囲気が変わってきていることはなんとなく気付いていた。前はもっと優しい言葉が入っていたのに,最近は用件だけの短文が多くなっていた。不安な気持ちが由香子のなかにゆっくりと広がってゆくのがわかった。忙しいのはわかっていたが,我慢できずに思い切って夜遅く優に電話をしてみた。
「もしもし,私。どうしたの?」
電話の向こうで沈黙が続き,かすかに呼吸音が聞こえた。なにかを言おうとしているのか,時々呼吸が乱れ,沈黙のなかに息を飲む音がした。
「ごめん……由香子。俺,他に好きな子ができちゃったんだ……」
「え……? どういうこと?」
なんとなく,こんなこともあるんじゃないかと想像はしていたが,電話をした途端に言われるとは思ってもいなかった。こういった話はもっと段階があると勝手に思っていた。
「ごめん……俺,もう由香子のこと,好きじゃないんだ……」
ショックだった。なにを言ってよいのかわからなかったが,優がふざけていないことだけは理解できていた。
「あ,あの……それって……ずっと浮気してたの……?」
咄嗟に出た言葉が,『浮気』だったのに自分でも驚いた。頭の片隅にあった怖さのようなものを確かめたかったのかもしれないが,自分のプライドが想像していた以上に傷つき,自分自身を守ろうと頭のなかで必死に言葉を探した。
「い,いや……あの……。由香子にどう言おうか悩んでたんだ……」
「ねえ……浮気してたの………?」
「ごめん……」
『お疲れさま。今週末,どうする?』
由香子は仕事帰りに優にLINEを送った。すぐには既読にはならなかったが,翌日のお昼休みに返信があった。
『ごめん。今週末は予定が入ってて会えない。ちょっと仕事が忙しいんで,また後で連絡する』
最近,LINEの文章の雰囲気が変わってきていることはなんとなく気付いていた。前はもっと優しい言葉が入っていたのに,最近は用件だけの短文が多くなっていた。不安な気持ちが由香子のなかにゆっくりと広がってゆくのがわかった。忙しいのはわかっていたが,我慢できずに思い切って夜遅く優に電話をしてみた。
「もしもし,私。どうしたの?」
電話の向こうで沈黙が続き,かすかに呼吸音が聞こえた。なにかを言おうとしているのか,時々呼吸が乱れ,沈黙のなかに息を飲む音がした。
「ごめん……由香子。俺,他に好きな子ができちゃったんだ……」
「え……? どういうこと?」
なんとなく,こんなこともあるんじゃないかと想像はしていたが,電話をした途端に言われるとは思ってもいなかった。こういった話はもっと段階があると勝手に思っていた。
「ごめん……俺,もう由香子のこと,好きじゃないんだ……」
ショックだった。なにを言ってよいのかわからなかったが,優がふざけていないことだけは理解できていた。
「あ,あの……それって……ずっと浮気してたの……?」
咄嗟に出た言葉が,『浮気』だったのに自分でも驚いた。頭の片隅にあった怖さのようなものを確かめたかったのかもしれないが,自分のプライドが想像していた以上に傷つき,自分自身を守ろうと頭のなかで必死に言葉を探した。
「い,いや……あの……。由香子にどう言おうか悩んでたんだ……」
「ねえ……浮気してたの………?」
「ごめん……」



