Dさんは29歳の女性でAとCのサークルのOB、
現在は心理カウンセラーをしているとのこと。

以下、AさんとDさんの会話だ。

D:話は少しCから聞かせてもらっているよ。Aからも何が起こったのか教えてくれる?

A:はい。降霊術をした日から、悪夢を見るようになったんです。赤ん坊の泣き声が聞こえて、私が妊婦を襲っている夢です。

D:襲われているのが妊婦ということ?

A:はい。夢に出てくる女性はみんなお腹が膨らんでいて妊婦のようなんです。それも私が知らない人ばかりで。

D:うーん。…もしかすると姑獲鳥(うぶめ)の仕業かもしれない。

A:姑獲鳥…?

D:子どもを孕んだまま亡くなった女性の幽霊。もちろん伝説上の存在よ。でも、こういう伝説は心の問題を解き明かす上で手掛かりになったりするの。最近、Aの周りで妊婦が亡くなったことはなかった?

A:妊婦…。あっ、Bのお母さん…。

D:そのことが夢に影響しているんじゃないかな。

A:そうなのかな…。

D:それにCから映像を見させてもらったわ。あの様子だと、治療が必要ね。

A:映像…?もしかして降霊術の映像を見たんですか?

D:えぇ。

A:Cが勝手に見せたんですか…。信じられない。
二人揃って私のこと病人扱いですか!私は病人なんかじゃない!

D:気を悪くさせちゃってごめんね。

A:もう結構です。ありがとうございました。

以上がAさんとDさんの会話だ。

Aさんはその場で立ち上がりお店を出た。

「なんか、悪いことしてしまいましたかね…。Bちゃんのことで相当思い詰めてるみたいで。ただAが話していた夢、なんだが不吉な予感がします。…実は私も妊娠中なんです」