取材日から数日後、Aさんから一通のメールが送られてきた。

あの日喫茶店を出たAさんとCさんは降霊術を行うため、近くの山沿いにある神社へと向かった。
同行は断られたため、代わりに降霊術を行う様子をカメラで撮影してもらうことになった。Aさんの知る降霊術は2人で行わないと効果がない儀式とのこと。

撮影した素材を送ってもらうよう依頼すると、
「一部トリミングした素材なら…」とAさんから返答が来た。
Aさんというよりは、Cさんがこの映像を共有するのを拒んでいるようだ。

Aさんから送られてきたファイルには、以下のような映像が記録されていた。

Aさんが神社の鳥居の前に立つ。
カメラの視点は向かい合うように立つCさんから見たAさんを捉えている。

Aさんがノートを開く。

Aさんが聞き取れない言葉を発する。

C:A…こんなことしても何も起きないよ。もうやめよう。

Aが下を向き、手からノートが地面へ落ちる。

C:なぁ、聞こえてるんだろ。下手な芝居はやめてくれよ。

Aさんが上半身を硬直させたまま、カメラに近づいてくる。

C:言いたいことがあるなら俺に直接言えばいいだろ!

A:C君…C君…C君

C:嘘だろ…本当にBなのか…?

Aさんがカメラにぶつかり、カメラが横に倒れる。

以上が映像記録だ。

Aさんにこの後、何が起こったのか確認したところ覚えていないとのことだった。