累プロパゲーション

 合コンで女をお持ち帰りするはずが、酔い潰れてその計画はおじゃんになった。その後は、店から一番近いという理由で明らかに数合わせだろう地味な後輩女子の自宅に一晩泊まらせてもらう事になった。冴えないだけでブスではないし、イケない事もなかったが、スケベ心も起きない程に躰はアルコール漬けである。
 掃除はしてあるが普段誰も使っていないのだろう部屋で寝ていると、廊下を挟んだ部屋から話し声が聞こえた。自分より若い……まだ十代だろう若者達。そういえば兄弟と暮らしてるんだったか、かなり声量は落としていて空気の読める子達だなと感心していると、隣の部屋の引き戸が少し開いた。

「……それで兄さん、あの生ゴミ何処に捨てます?」

 嫌悪感に満ちた声に飛び起きる。自分はゴミ捨て場に寝ていた。犬の散歩中の中年女性が不愉快そうに顔を逸らして通り過ぎて行く。