そしていま,革製の拘束具が肌を擦り切り,全身が血と汗に塗れた。瞬きのしすぎで瞼の皮が切れ,目に血が入り,痛みで涙が止まらなくなった。

 誰もいない,どこだかもわからない部屋で何日も拘束され,食事も水も与えられず,気を失うように眠り,目が覚めても真っ暗な闇だった。

 全身が痺れ,痛みも感じなくなり,動くことが許されないまま涙だけが溢れ続けた。

 頭の奥で親友の声がした。悲鳴にも似た叫び声と,誰かに許しをこう悲痛な叫び声だった。その親友の周りを相手が誰かはわからなかったが,何人かが囲んでいる声がした。

 低い鈍い音が何度か聞こえ,その直後から親友の声が聞こえなくなった。

 自分がなにを聞いているのか理解できず,なぜ自分が全裸で拘束されたのかも思い出せなかった。

 ただ当たり前のように生きてきただけで,こんな性癖があるわけでもなく,酷い目に遭わされる理由もなかった。

 こうして全身を拘束され,目隠しをされ,真っ暗な状態で痛みと苦しみを与えられているのは事実だった。

 両親に連絡がしたいと願ったが,口には口枷がはめられ,そもそも自分の周りに人がいるのかもわからなかった。

 最後に聞いたのは重い金属製のドアが女性の悲鳴に似た音を立てながら閉まり,ゆっくりと金属製の鍵が落ちる音だった。

 なにが現実でなにが嘘なのか,なぜ自分がこうしているのか,なにもわかならないままゆっくりと意識を失うように眠りについた。

 最後に見たのは,真っ暗な闇のなかで優しい小さな淡い光が拡がり,嬉しそうに両親に抱っこを願う笑顔に包まれた幼い自分の姿だった。