道の脇には教会があり、イルミネーションに包まれた敷地内は自由に出入りすることができる。
人の流れに沿うようにして、私たちは自然とそこへ足を踏み入れた。
「わぁ……」
白壁の建物はまるで西洋のお城のようで、その足元にはクリスマスキャンドルが並んでいる。
さらに奥へ進んで中庭の方に出ると、美しいバルコニーや外階段の前でカップルたちが写真を撮っていた。
「やっぱり綺麗やねぇ。結婚式はここで挙げたいわぁ」
そんな会話があちこちから聞こえてくる。
さらにはクリスマスプレゼントの話題も耳に入って、私はまた思案した。
(猫神様へのプレゼント、早く決めないと)
彼が喜んでくれそうなもの。
先ほどのマーブルくんの言葉を借りれば、猫にとっての幸せとはあたたかい寝床と美味しいごはん、それから暇つぶしになる下僕の存在……。
(全然参考にならないなぁ……)
さてどうしたものかと頭を悩ませていると、「桜さん」と隣から猫神様が私を呼んだ。
「もうじきクリスマスですよね。できれば何かプレゼントを贈りたいと思ってるんですが、何かリクエストはありませんか?」
「え」
まさかの直球で彼の方から質問されて、私は固まった。
「本当は、桜さんには内緒で用意しようと思てたんですが、何を贈れば良いのかわからなくて……もうクリスマスまで日もないですし、それならいっそご本人の希望を聞いた方が良いかと思いまして」
すみません、と困ったように彼は微笑む。
私と同じように、彼もまたプレゼントに悩んでいたのだ。
「……わ、私も悩んでたんです! 猫神様に、何をプレゼントしたらいいのかって。猫神様が喜んでくれるのは何なのかなって」
お互いに、心の中で悩んでいた。
私だけでなく彼も同じことを考えていたと知って、胸の奥がほんのりと熱を帯びる。
「そうでしたか。嬉しいです、桜さんにそう思ってもらえて」
「猫神様……」
本音を言えば、私へのプレゼントなんかなくたっていい。
ただ、こうして彼が私のことを思ってくれることが、何より嬉しい。
「桜さんが贈ってくれたものなら、私はなんでも嬉しいですよ。ですが、あえてリクエストをするなら……できればクリスマスの当日は、私と一緒にいてもらえませんか」
「へ……」
一緒にいてほしい、と彼は言う。
物を贈るとか、そういうことではなく。
「猫は寂しがり屋なんです。桜さんさえ良ければ、当日は私と一緒に……二人きりでパーティでもしませんか?」
そう言って小首を傾げた彼の顔が、ちょっとだけ照れくさそうに見えたのは気のせいだろうか。
二人きりで過ごすクリスマス。
何かを贈り合うわけでもない、けれど特別な時間。
「も、もちろん、猫神様がそれでいいなら……あっ、よければ当日は一緒にご飯を作りませんか?」
「良いですね。たくさん美味しいものを作りましょう」
猫神様と二人きりで過ごす、初めてのクリスマス。
後日、クラスメイトの柚葉さんから当日の様子を根掘り葉掘り聞かれたのは、また別の話。



