「でも、危ないんじゃ……」
と、言いかけて玲央奈からの視線を感じて真由は口を閉じた。

廃墟があるということは目隠しになる部屋があるかもしれないということだ。
玲央奈はここでチャンスを狙っているんだろう。

いくら彼氏相手といっても、廃墟っていうのはどうなの?
と、出かかった言葉をどうにか飲み込んだ。

「いいと思うよ」
引きつった声で賛成すると、玲央奈が満足そうに微笑む。


本当は廃墟なんて行きたくないけれど、ここで玲央奈の機嫌そ損ねればキャンプが終わるまでネチネチ言われかねない。

「真由、嫌ならテントに戻っててもいいんだぞ」
大翔に言われて真由は左右に首をふった。

こんな言い方をすると言うことは大翔も廃墟探検へ行くことに賛成なんだろう。