そのひとつひとつになにか書かれているようだけれど、ここからじゃ読み取ることはできなかった。

「あれって、墓じゃないか」
「うそ……」

家があった場所に立つ簡素な墓の間に玲央奈と泰河が倒れているのが見えた。

「玲央奈!!」

咄嗟に川に入ろうとする真由の腕を大翔が掴んでとめた。

「向こうに行っちゃダメだ」
強い口調で言われて息が止まる。

次にあの村へ足を踏み入れれば、今度こそ戻って来られなくなるかもしれない。

「こっち側は電波がある。警察を呼ぼう」
大翔は静かな声でそう言ったのだった。