「うぅ……」
あまりの頭痛にうめき声を上げて目を覚ましたのは真由だった。

うっすらと目を開いた真由の視界に最初に飛び込んできたのはオレンジ色の光で、それがなにか理解するまで少しの時間が必要だった。

「ここ、テントの中?」
上半身を起こしてみると狭いテントがガサガサと音を立てる。

横を見ると海パン姿の大翔が横になっていた。
「大翔、ねぇ起きて!」

肩を揺さぶると異様な冷たさを感じてすぐに手を引っ込めた。
「ねぇ、大丈夫なの?」

そっと顔を近づけたとき、大翔の長いまつげが揺れた。
「真由?」

大翔もひどい頭痛がしているのか、顔をしかめて自分の額を押さえた。
「ここってテントの中だよね? 私達いつの間にこっち側に戻ってきたの?」