まさかという気持ちでしゃがみ込み、ライターを掴む。
横にあるタバコは濡れ細ってしまい、とても吸えたものじゃなさそうだ。

それでも持っていたのは、いつもポケットに入れのと同じような感覚で海パンへ入れてしまっていたんだろう。

今はそれほどまでタバコ好きだった泰河に感謝しないといけない。
真由は両手で枯れ葉をかき集めると子供たちへ視線を向けた。

ここで子どもたちを苦しめていたのは飢えと寒さだ。
飢えはもう十分に満たしている。

だから今度は寒さから開放してあげるべきだった。
「こっちに火があるよ!!」

真由が叫ぶと子どもたちが一斉に振り向いた。
そして怪訝そうな視線を向けてくる。

「嘘つき。火なんてないじゃないか」
男の子の言葉に真由はライターをかかげて見せた。

「ここにあるよ」
真由が枯れ葉にライターを近づけると子どもたちの目が大きく見開かれた。

「寒いよぉ……」