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子供たちが山におきざりにされてから気がつけば幾月か流れ、冬が来ていた。
子供たちは年長の男の子を中心としてどうにか今まで生き延びてきたのだ。
それでも元々栄養の悪い状態で育った子どもたちにとって川は深く、また流れは早かった。
何度も川を渡ろうとしたけれど、その都度失敗して元の岸へと戻ってきてしまう。
それはまるで蟻地獄の中の蟻になったような気分だった。
『寒いよぅ……』
冬になると魚はなかなか取れなくなった。
秋のうちに集めておいた木の実をすりつぶして食べていたけれど、それもそろそろ底をついてしまう。
子どもたちの肋骨は浮き上がり、うずくまったその背中からも骨が見えている。
『大丈夫だよ』
かすかに残った焚き火の周りに集まっても振ってきた雪の寒さを凌ぐことは難しくなってきた。
振り続ける雪で火は消えて、枯れ葉は湿って火がつかない。
『寒いよ、寒いよ』
飢えと寒さに凍えて身を寄せ合っていた子どもたちはひとり、またひとりと動かなくなった。
その手足は枝のように細く、雪のように真っ白だった。
子供たちが山におきざりにされてから気がつけば幾月か流れ、冬が来ていた。
子供たちは年長の男の子を中心としてどうにか今まで生き延びてきたのだ。
それでも元々栄養の悪い状態で育った子どもたちにとって川は深く、また流れは早かった。
何度も川を渡ろうとしたけれど、その都度失敗して元の岸へと戻ってきてしまう。
それはまるで蟻地獄の中の蟻になったような気分だった。
『寒いよぅ……』
冬になると魚はなかなか取れなくなった。
秋のうちに集めておいた木の実をすりつぶして食べていたけれど、それもそろそろ底をついてしまう。
子どもたちの肋骨は浮き上がり、うずくまったその背中からも骨が見えている。
『大丈夫だよ』
かすかに残った焚き火の周りに集まっても振ってきた雪の寒さを凌ぐことは難しくなってきた。
振り続ける雪で火は消えて、枯れ葉は湿って火がつかない。
『寒いよ、寒いよ』
飢えと寒さに凍えて身を寄せ合っていた子どもたちはひとり、またひとりと動かなくなった。
その手足は枝のように細く、雪のように真っ白だった。



