川の流れは早くてなかなか魚を釣ることはできなかったけれど、数日間雨が止めば流れも穏やかに戻っていた。

ためしに一番年上の男の子が川の真ん中くらいまで歩いて行ってみたけれど、子供の身長ではとても渡り切ることができなかった。

泳ぎが得意でも流されてしまうだろう。
『みんなぁ、大丈夫なのぉ?』

そんな声が聞こえてきたのは山に捨てられて7日が経過した頃だった。

ザブザブと川の中を歩いてくるのはまだ年若い大人の女性で、その手には大切そうにカゴが持たれていた。

山の中で暮らすことを想定していた子供たちにとってそれは予想外のことで、また希望でもあった。

『お母ちゃん!!』
すっかりケガの治った女の子が駆け出した。
『良かったぁ、みんな、生きていたのねぇ』