途中足を取られて小さな女の子が転んで声を上げた。
その膝からは血が流れ出す。

『痛いよぉ』
大人へ向けて涙目になって訴えかけるけれど、歩みは止まらなかった。

女の子は痛む足を引きずるようにして無理やりあるき出す。
そしてたどりついたのは川の前だった。

『ここから先は船だ』
先頭を歩いていた大人が三角の傘ごしに子どもたちへ言った。

視線の先には小さな渡し船があり、川の中でユラユラと左右に揺れている。
子どもたちは怯えてしまって動けない。

そんな子供たちに大人は農具を突きつけて無理やり船へと乗せた。

子どもたち全員が対岸へおりたのを見届けると、大人たちはなにも言わずに帰っていってしまった。

残された5人の子供たちは川で冷えた体を温め合うように、寄り添い、そして日は暮れていった……。