気味の悪い笑顔を貼り付けたまま「鬼ごっこしてくれたらね」と、男の子が答える。
「なにが鬼ごっこだ! そんなことしてる場合じゃねぇだろ!」

泰河がイラついた様子で近くの木を蹴りつけると、枝に止まっていた鳥たちが一斉羽ばたいた。

その姿はすぐに消えて見えなくなる。
鳥たちはここから外へ出ることができるみたいだ。

玲央奈が右手を伸ばして泰河の腕を掴む。
その顔はまだ青いけれど、泰河を止めているのがわかった。

「鬼ごっこをしてくれないなら、外に出られないよ」
男の子の言葉に泰河は大げさなため息を吐き出し、真由と大翔は互いに目を見かわせた。

この村は普通の村じゃない。
その上どんなことが起こるか想像もできない。

今はひとまず、子供たちの言い分を受け入れるしかなさそうだ。
「わかった。鬼ごっこをしよう」

大翔の言葉に5人の子供たちが一斉に喜び始めた。
両手を突き上げてジャンプしたり、隣の子と抱き合ったり。