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子どもたちからの提案は鬼ごっこだった。
「遊ぶ前に説明してくれ。ここは一体なんなんだ?」

大翔の言葉に5人の子供たちは一斉に首をかしげた。
そのシンクロを見た瞬間ゾッと背筋に寒気が走る。

「ここは僕たちの暮らす村だよ」
10歳の男の子が笑顔で答える。

その愛らしいはずの笑顔も今は薄気味悪く感じる。
今思えば初めて子供たちを見たときから諦観したような、やけに大人びた空気を肌で感じていた。

だけどそれは子供たちの異様な様子によってかき消されていたのだ。
「とにかく外に出たい。外に出してくれ」

泰河が子供たちを睨みつけて低い声で言う。
けれど子供たちがひるむことはなかった。