「お兄ちゃんとお姉ちゃん、お父さんたちが帰ってくるまで僕たちと遊んでよ」
突然後ろからそう声をかけられて振り向くと、そこにはさっきの男の子が立っていた。

その目は大きく見開かれてランランと輝いている。
「む、無理だよ。だって私たちは帰らなきゃいけないし」

自然と早口になっていた。
この子たちもこの空間もなにかがおかしい。

だけどそう気がついたときには遅かった。
男の子は真由の腕を痛いほどに掴んでいたのだ。

ガリガリの体のどこにそんな力があるのか不思議に思うほどの怪力に、真由は思わず「痛いっ!」と叫んでいた。

「なにしてる!」
大翔がすぐに駆けつけてくるけれど、男の子は手を離そうとしない。

掴まれている右腕から先が赤紫色に変色していく。