「なに、あれ……」
呆然と立ちつくして呟く。

風や太陽光の反射のせい?
でもあんなの見たことない。

そう思っている間に泰河がザブザブと川の中に入っていき、その空間に触れていた。

泰河の指先から空間に波紋が広がる。
「は? なんだよこれ!!」

泰河の叫び声。
そして空間を殴りつけ、それが大きな波紋になって広がっていくのを見た。

空間に広がる波紋はグルリと廃墟村を取り囲んで、そして消えた。
「嘘でしょ」

真由はふらふらと歩いて小さな村の最奥へやってくると、なにもない空間に手を伸ばした。

その瞬間、ヒヤリと指先に何かが触れる感触があり、すぐに手を引っ込める。
少し触れた場所からまた波紋が広がっていく。

見えない壁がそこにはあった。