真由がしゃがみこんで子供と視線を合わせて聞くと、ふたりは怯えたように身をすくめてしまった。

そして気がついたときには総勢5人の子どもたちが建物の中から出てきていたのだ。
みんな同じように薄汚れて、体はガリガリと言っていいほど痩せている。

明らかに普通じゃない様子に玲央奈の顔は真っ青だ。
「君たち、お父さんやお母さんは?」

ただ事ではないと察した大翔が一番最初に出会った男の子に質問した。
子どもたちの中で男の子が最も年上に見えたからだ。

「仕事に行ってるから、今はいないよ」
「仕事ってなにをしてるんだ? 連絡は取れるのか?」

矢継ぎ早に質問されて男の子は困ったように首をかしげて黙り込んでしまった。
本当にこの子たちに親はいるんだろうか?

いるとしても、子供たちが薄汚れてしまうほど貧乏なんてことあるだろうか。

真由は咄嗟に頭の中に浮かんできた【貧しい子供たちを救いたい】という題名をかき消した。