その日は土砂降りで、家を出るかも悩むくらいの天候だった。

今日は俺の誕生日だったんだ。彼女と一緒に過ごすはずだったのに。

俺はこの日を楽しみに今日まで生きてきたといってもいい。だからおれは、母親の「やめときなさい」その言葉を無視して家を飛び出した。

駅まで向かっている最中、彼女からの電話がかかった。

「13時ごろにはいくから!待ってて!」

そういった。
そしたら、なんで?って聞いてくるものだから。そのまま伝えて電話を切った。
俺は電車に乗り込み彼女の家の最寄り駅で下車した。

家に向かっている最中だった。地図で彼女の家を検索しながら向かった。

俺は落としたんだ。そのスマホを。

いや、違うな。

落とさなければならない。そんな状況だった。

いきなり目にひものようなものが写ったと思ったら、ギュっって音がした。

ギューってずっとずっと聞こえる。あれ?聞こえない。

物がぼやけて見えて、車の通る音がかすかに聞こえる。
あれ、誰だろう。

あ、それ、俺のスマホ。

ピロン

一件の通知が届く

「入っていいよ」

玄関のドアを開けたら、クラッカーの音、そしてお返しに、
彼女の「音」をサプライズしたよ。