私には、小学1年生の頃に親友がいました。なちかちゃんと言って、眼鏡がとても似合う、私が知っている中で誰よりも心が強い子でした。彼女はいつも明るく、どんな時でも決して弱音を吐かなかっだのを覚えています。しかし、そんな明るいなちかちゃんには、生まれつき心臓が弱く、実はその心臓は人工のものであることを教えてくれました。

彼女はたったの6歳で、毎日何種類もの薬を飲んでいました。朝、昼、晩と決まった時間に必ず飲まなければならないその薬は、なちかちゃんにとっては命の源だったのです。薬を飲む度に、彼女は少しだけ力を振り絞るようにして目を閉じる姿が印象的でした。

「大丈夫、私は強いから」と、いつもそう言って私を安心させてくれたその言葉は、今でも心に残っています。

私は人見知りで、なちかちゃんしか友達がいませんでした。だから、いつも一緒に遊び、放課後もよくお互いの家を行き来していました。お母さん同士も仲が良く、私たちの家に行き来するのが当たり前のようになっていました。毎日、「私たち、ずっと一緒だよ」と約束し、二人の世界は穏やかで楽しいものでした。

あの日も、いつも通り、なちかちゃんは「またね」と教室で手を振りながら帰っていきました。私はいつものように「また明日ね」と手を振り返して見送ったんです。その瞬間は、何も特別ではなく、ただいつも通りの日常の一部に過ぎなかった。ただ、私にはその瞬間が最後の別れだということが、まるで分かっていなかったんです。