父方の家系は、先祖代々、お坊さんだったと言われています。その影響か、父は幼い頃から霊感が異常に強かったそうです。父には見えない存在の姿や声が常に見え、聞こえているのだと言います。

ある日のことでした。父が突然、我が家の窓を指差し、怯えた表情でこう言ったのです。

「あそこに、誰かが覗いている。」

父の声は震え、まるで何かに追い詰められているかのようでした。そして、さらにこう続けました。

「楽しそうにしていると、あいつらは現れるんだ。」

その時の私は、正直なところ父がまた妙なことを言い出したくらいにしか思いませんでした。けれども、次第にその言葉が単なる冗談や思い込みではないと気づき始めたのです。

父が言うには、家族が笑い合い、楽しくしているとき、窓の外に何かが現れるのだと言います。それが何なのか、なぜ現れるのか――父は決して明言しませんでした。ただ、それは明らかに私たちに敵意を抱いている何かのようでした。