Nの話はいかがだったろう。私は正直、この先を読み進めたくないと思った。
 というのも、本を読み始めてから真夜中や薄暗い曇りの昼間に、やたらと家鳴りが耳につくようになったのだ。ぴしっ、みしっと音がするたびにビクビクしながら「気のせいだ」と自分に言い聞かせる羽目になったのだが、皆さんは大丈夫だろうか。
 
 実はNの著書をこうして披露したのには、理由がある。
 相談を受けたのだ。友人から『ある本』を借りて読んだという女子高校生で、仮にR子としておこう。
 ここで、Nの話を最後まで読み進める前に、R子のケースを紹介しよう。なお、プライバシー保護のため関係者の名前は全てイニシャルを使う。