未熟なスマホ退魔師は過保護な幼馴染に溺愛される

「こちらも買っておきました」
 有田が差し出したのは新鮮な完熟マンゴーだ。
「ありがとう」
 受け取った龍真が自らの影にマンゴーを差し出すと、龍の手がにゅうっと伸びてマンゴーを受け取って消えた。
「僕もおやつほしいにゃ!」
「タマにはこれだな」
 龍真はポケットから半液状のおやつをだしてその封を切る。
「今日の妖みたいな形状よね」
「結珠は嫌なこと言うにゃ」
 タマは耳を伏せて文句を言って龍真からおやつを受け取り、前足で掴んでぺちゃぺちゃと舐めた。しっぽがうれしそうにぴーんと伸びている。
「では、私たちは失礼しますので」
 有田と部長が再度頭を下げてから退室する。
 ふたりきりになり、結珠はほっとしてフォークを手に取った。
「いただきます!」
 ミニサイズの星型タルトにリンゴとキャラメルクリームがたっぷりと使われている。生地はさくっとしていて、口の中でほろほろと崩れる。リンゴは甘さと酸味のバランスが程よくて、キャラメルクリームとの相性も抜群だった。どれだけでも食べられそうだ。
 幸せそうに食べる結珠を見て、龍真は微笑する。
「次の昇級試験、受けるか?」
「いいの?」
 いつも龍真は結珠が昇級試験を受けるのを良しとせず、止められていた。