未熟なスマホ退魔師は過保護な幼馴染に溺愛される

「夜刀に任せれば一発だろう。夜刀、頼む」
「龍使いの荒いご主人だ」
 あきれたように言い、夜刀はふうっと息を吹いた。
 その息は黒い炎となってアメーバに到達する。炎に巻かれたアメーバは苦し気にのたうち回り、小さくなっていく。
「本体がどこかにあるはずだ。わかるか」
「それまで我にやらせるのか」
「新鮮堂の極上マンゴーを買って来るから」
「……やってやろう」
 果物が大好きな夜刀はあっさりと買収された。
 黒龍はじっとアメーバを見つめてひげをそよがせた。その目がカッと見開かれる。
「屋敷の下に隠れている。燃やすか」
「人間には悪影響だからやめてくれ。燃やさなくても夜刀ならできるだろう?」
「めんどうなことよ」
 夜刀はさらに黒炎を吐き、アメーバを縮める。
 ただ縮んでいるだけではなかった。アメーバは地面に染み込むようにして逃げている。
「猫又、地面を掘って本体をえぐり出せ」
 夜刀がタマに言う。
「猫又は犬じゃないから地面は掘らないにゃ」
「役に立たんな」
「にゃんだと!」
 夜刀の言葉にタマが反論する。