未熟なスマホ退魔師は過保護な幼馴染に溺愛される

 大きな害のない妖なのだろうか?
 だが、あれに飲み込まれたら窒息はするだろう。
 結界を解除したら、と考えて首をふる。
 外にあふれたら対処できなくなる可能性がある。
 それに、結珠が来たとたんに出て来た。思考力もあるかもしれない。
 そもそも、あのアメーバ状のものは本体だろうか。
「結珠!」
 タマが悲鳴のように名を呼んだ。
 振り返ると、ドアの隙間から妖が忍び込んできていた。
 仕方なく攻撃の御札を投げる。攻撃は効果が薄くても嫌なのか、スピードが遅くなった。が、ゆるゆると侵入は続く。
 結珠は攻撃を続け、御札の残数はどんどん減っていった。
「どうしたらいいの」
 結珠は青ざめて呟いた。
 断続的に攻撃を続け、なんとか部屋の侵入を阻み続ける。
 だが、アメーバは徐々に着実に増える。
 スマホが熱を帯びて御札は残り少なく、限界が近かった。
「龍真様はまだかにゃ」
 タマはおろおろとつぶやく。
 ドアから侵入したアメーバがそろそろと仮足のようなものを伸ばす。
 それに向けて攻撃の御札を射出しようとしたが、アプリがふいに強制終了した。