未熟なスマホ退魔師は過保護な幼馴染に溺愛される

「退魔中止だよ。帰ろう」
「遭遇する前でよかったにゃ」
 通話を聞いていたタマはほっとしたように言う。
 ふたりで階段に向かうが、その足は直前で止まった。
「嘘……」
「にゃんだこれ!」
 階段は半ばほどアメーバ状の物で埋まっていた。
「いないと見せかけて退路を塞いだんにゃ」
 タマが怯えたように言う。
 アメーバは水嵩を増すように徐々に増えてくる。
 結珠はスマホを出して構えた。ターゲットマークに妖を捉え、封印の御札をシュッと射出する。
 だが、妖にはじかれた。
「効かないか」
 低級用の御札だから、効果がなくても当然だ。
 妖は徐々に嵩を増し、とうとう階段を超えて来る。
「捕まったらどうなるにゃ」
「よくあるイメージだと溶かされて食べられる感じ?」
「い、嫌にゃ!」
 タマは怯えて結珠の肩に駆け上る。
「とにかく逃げよう」
 結珠は窓のある部屋に駆け込み、扉を閉める。