未熟なスマホ退魔師は過保護な幼馴染に溺愛される

「藤小路龍真、上級退魔師だ」
「あの有名な藤小路さん!?」
「いいから早く教えろ」
「ま、待ってください」
 有田は急いでパソコンに向かい、結珠に送ったのを同じデータを龍真のスマホに送る。
「データを送りました」
「藤小路さん、私が車で送りますから。お前は茜結珠さんに連絡して退魔を中止するように言ってくれ」
「わかりました」
 植田は後半を有田に言い、有田が頷く。
 植田は急いで上着を羽織って、龍真とともに退魔協会を出て行った。

***

 屋敷の中はほこりっぽい空気が満ちていた。昼間でも薄暗くて、隙間から光が筋となって差し込んでいる。
「いかにもなんかいそうっていう感じにゃ」
 タマが怯えたように結珠に体を寄せる。
「怖がりね」
 結珠は笑って見せたが、やはりちょっと不気味で怖い。