数日後、被害者の共通点が少しずつ判明してきた。全員、12月1日のILLYの配信を見て、キャラメル?状の染色剤を購入していた形跡があったのだ。ILLYは、美容業界で有名なYouTuberで、ファンは幅広い世代にいることも。その中には、女性だけでなく、ジェンダーレスの人もいた。
白石が鼻毛をふわふわさせながら言った。
「ILLYが売った染色剤が毒で、実は、ILLYが犯人だったってことっすかね。で、その後、何かしらの動機で、自分も自殺した、的な?」
赤井が答えた。
「あぁ、どうだろな。染色剤は、今、中身を検証してもらっている。」
そして、しまったという顔をして、舌を鳴らした。
「そう言えば、エマが今朝、ILLYが何とかって妻と話してた。」
「娘さんっすか?」
「ああ、そうだ。ちょっと帰るわ。エマに話を訊いておかないと。」
赤井が帰宅すると、妻とエマが食卓について、赤井の帰りを待っていた。
「あなた、今日は早かったね。なぜ?何か隠し事あるの?」
赤井は妻の言葉を聞き流し、舌をもつれさせながら、夕食の準備を手伝っている、エマに尋ねた。
「あの、あ、エマ、確か今朝、ILLYの話、してなかったか?」
「うん。私の推しだもん。ILLY行方不明って噂。どうかしたの?」
「あの配信見てたのか?あの、髪染めるやつの、あれ。」
「うん。見たよ。」
「で、買ったのか?その…あれ。あれを。」
「買ってないよ。だって、私の今の髪の毛、青じゃなくて、ピンクの気分だもん。」
赤井はエマのその言葉を聞いて、胸を撫で下ろした。
最愛の娘だ。エマは、赤井には全く似ておらず、親の贔屓目無しでも、色が白く、目鼻立ちの整ったキレイな顔だと思う。せっかくの美しいブルネットの髪をピンクに染めて欲しくはないが。
「ILLYよりよっぽどエマの方が可愛いのに」
ぼそりと赤井は言った。
とりあえず、ホッとしたが、ILLYの件は、極秘情報だから家族にも話せない。染色剤の購入者には、全員コンタクトを取り、染色剤は全て回収した。ほとんどが使用済みで、残念ながら本人死亡だった。
妻が何度も
「今日はなぜ早かった?」とか
「ILLYの話、エマに関係あるのか?」とか
「エマは大丈夫か?」とか
「今回の事件、何なの?」とか
矢継ぎ早に聞いてきたが、無視しておいた。
よくあれだけ舌が回るものだ。昔はキレイだったのに。今は豚かトドのように太り散らかしている。
でも、その日の夕食のビーフシチューは、顎が落ちそうに美味しかった。
白石が鼻毛をふわふわさせながら言った。
「ILLYが売った染色剤が毒で、実は、ILLYが犯人だったってことっすかね。で、その後、何かしらの動機で、自分も自殺した、的な?」
赤井が答えた。
「あぁ、どうだろな。染色剤は、今、中身を検証してもらっている。」
そして、しまったという顔をして、舌を鳴らした。
「そう言えば、エマが今朝、ILLYが何とかって妻と話してた。」
「娘さんっすか?」
「ああ、そうだ。ちょっと帰るわ。エマに話を訊いておかないと。」
赤井が帰宅すると、妻とエマが食卓について、赤井の帰りを待っていた。
「あなた、今日は早かったね。なぜ?何か隠し事あるの?」
赤井は妻の言葉を聞き流し、舌をもつれさせながら、夕食の準備を手伝っている、エマに尋ねた。
「あの、あ、エマ、確か今朝、ILLYの話、してなかったか?」
「うん。私の推しだもん。ILLY行方不明って噂。どうかしたの?」
「あの配信見てたのか?あの、髪染めるやつの、あれ。」
「うん。見たよ。」
「で、買ったのか?その…あれ。あれを。」
「買ってないよ。だって、私の今の髪の毛、青じゃなくて、ピンクの気分だもん。」
赤井はエマのその言葉を聞いて、胸を撫で下ろした。
最愛の娘だ。エマは、赤井には全く似ておらず、親の贔屓目無しでも、色が白く、目鼻立ちの整ったキレイな顔だと思う。せっかくの美しいブルネットの髪をピンクに染めて欲しくはないが。
「ILLYよりよっぽどエマの方が可愛いのに」
ぼそりと赤井は言った。
とりあえず、ホッとしたが、ILLYの件は、極秘情報だから家族にも話せない。染色剤の購入者には、全員コンタクトを取り、染色剤は全て回収した。ほとんどが使用済みで、残念ながら本人死亡だった。
妻が何度も
「今日はなぜ早かった?」とか
「ILLYの話、エマに関係あるのか?」とか
「エマは大丈夫か?」とか
「今回の事件、何なの?」とか
矢継ぎ早に聞いてきたが、無視しておいた。
よくあれだけ舌が回るものだ。昔はキレイだったのに。今は豚かトドのように太り散らかしている。
でも、その日の夕食のビーフシチューは、顎が落ちそうに美味しかった。