ここはどこなんだろう。
もぞもぞと起き出したとき、障子がからりと開いた。
「お気が付かれましたか」
柔和な顔の和服の男性がいて、すすっと中に入って膝をつき、障子を閉めて花楓に向き直る。
夢の中の男性にそっくりで、保育園にいたときに見た男性にもそっくりだ。長い黒髪はさらりとしていて、和服がすごく似合っている。
「お世話になったみたいですみません」
花楓は布団から出て正座した。
「大丈夫ですよ」
男性はにこやかに笑う。
「私、玖世花楓と言います」
「私は珀佳」
「珀佳さん、ここはどこですか?」
「そんなことはお気になさらず。ここでゆっくりとお休みください」
「そんなわけには……帰らないと」
外が明るいということは夜が明けているということで、つまりは無断外泊してしまったのだろう。きっと親に怒られてしまう。
「帰らなくていいのですよ」
男性は柔和な笑みを崩さず言った。
「え?」
「ここにいればもう悲しい思いはしなくてすみます」
花楓は目をしばたたいた。
もぞもぞと起き出したとき、障子がからりと開いた。
「お気が付かれましたか」
柔和な顔の和服の男性がいて、すすっと中に入って膝をつき、障子を閉めて花楓に向き直る。
夢の中の男性にそっくりで、保育園にいたときに見た男性にもそっくりだ。長い黒髪はさらりとしていて、和服がすごく似合っている。
「お世話になったみたいですみません」
花楓は布団から出て正座した。
「大丈夫ですよ」
男性はにこやかに笑う。
「私、玖世花楓と言います」
「私は珀佳」
「珀佳さん、ここはどこですか?」
「そんなことはお気になさらず。ここでゆっくりとお休みください」
「そんなわけには……帰らないと」
外が明るいということは夜が明けているということで、つまりは無断外泊してしまったのだろう。きっと親に怒られてしまう。
「帰らなくていいのですよ」
男性は柔和な笑みを崩さず言った。
「え?」
「ここにいればもう悲しい思いはしなくてすみます」
花楓は目をしばたたいた。