翌年、花楓は大学に合格して隣の市でひとり暮らしをして大学に通った。隣とはいえ山をはさんでおり交通の便が悪かったからだ。
夏休みには心配する親に言われて実家に戻った。
学費を出してもらっている身分では逆らえない。ファーストフード店のバイトは夏休みの間だけお休みをもらった。
その日、花楓は暇つぶしに親のお古のスクーターで買い物に行こうとしていた。古い原付だがレトロなデザインが気に入っていた。
青々とした稲の生えた水田の農道を走っていると、正面から男の子と網を持った陽乃真が自転車で走って来るのが見えた。
男の子は近所に住む小形瞬だった。花楓のことを花楓姉ちゃんと呼んで懐いてくれている。
花楓はスクーターを止めて彼らを待った。瞬は花楓の前で自転車を止めて、だから陽乃真も自転車を止めた。
「こんにちは、どうしたの?」
花楓が聞くと、瞬は泣きそうに彼女を見た。
「猫が大変なんだ!」
「猫?」
「木から降りれなくなった子猫がいるとかで、助けに行くところなんだ」
陽乃真が答える。
夏休みには心配する親に言われて実家に戻った。
学費を出してもらっている身分では逆らえない。ファーストフード店のバイトは夏休みの間だけお休みをもらった。
その日、花楓は暇つぶしに親のお古のスクーターで買い物に行こうとしていた。古い原付だがレトロなデザインが気に入っていた。
青々とした稲の生えた水田の農道を走っていると、正面から男の子と網を持った陽乃真が自転車で走って来るのが見えた。
男の子は近所に住む小形瞬だった。花楓のことを花楓姉ちゃんと呼んで懐いてくれている。
花楓はスクーターを止めて彼らを待った。瞬は花楓の前で自転車を止めて、だから陽乃真も自転車を止めた。
「こんにちは、どうしたの?」
花楓が聞くと、瞬は泣きそうに彼女を見た。
「猫が大変なんだ!」
「猫?」
「木から降りれなくなった子猫がいるとかで、助けに行くところなんだ」
陽乃真が答える。



