ん? このメモが気になるのかい?
 これは当時の関係者の子孫に聞いて回った……つまり又聞きの又聞きで裏取りはこれからなんだが……まあ、きみならいいや。特別だぞ。


○パトリシアの父のトーマス氏は当初サン・ジェルマンを不審がり、二人の結婚に反対していた。


○パトリシアのブルーダイヤを再度、鑑定にかけたところ、本物のダイヤモンドだと判明。
 サン・ジェルマンはこれを自身が外国の貴族である証としてトーマスから信頼を得た。
(警察がブルーダイヤの鑑定を間違えた理由については単に古い時代の話だからいい加減だったのだろうということで片付けられている)


○この時期、トーマスの商売は不安定になっていた。
 トーマスの友人たちはトーマスはダイヤモンドに釣られたのだと噂していた。


○パトリシアはサン・ジェルマンに夢中だった。


○二人が結婚して新婚旅行でイギリスを離れるのと同時に、トーマスの商売は不自然なまでに好転した。
 ルルイエ伯爵から直接的な支援を受けた形跡はナシ。
 運が向いてきた、あるいは不運が去ったとしか言いようのない状況だった。