俺は思わず溜息をつき、目の前の神に聞いた。

「具体的に、どこまでサポートすれば人類滅亡を回避できるんだ?」

神はキラッと歯を光らせ、なんか嬉しそうな顔をして答える。

「ボーイ……ついにやる気になってくれたんだね……!」

「やる気になったっていうか、やる気がなくてもやらせるんだろ?」

「……」

「目を逸らすな! こっち見ろ!!」

神は一瞬目を逸らし、軽く肩をすくめる。どうやら図星らしい。

「ボーイ、君にしかできないことなのデース!」

「天使からの信用無くして他の神からも見捨てられてるから俺に頼ったんじゃなくて……?」
 
「…………」

「…………」

「君が人類を救う英雄になるのデース!」

「そもそもさ、あんたが浮気したのが原因だろ?」

「…………」

「…………」

「sorry ボーイ……」

神がなんかしょぼくれて謝る。でも、こうなった以上、俺が何か言っても状況は変わらなそうだ。

「もういいよ……」

結局、もう起きちゃったことだし、しゃあないか。どうせ逃げられないなら、やるしかない。

「とりあえず、ボーイにはこの後すぐ現世に戻ってもらうデース!でも、このまま返しても多分BAD ENDしか迎えないので、このGODである私がボーイに素晴らしいギフトを授けまーす!」

神は指をパチンと鳴らす。チート能力とかくれるんだろ? 異世界転生ってそういうもんだしな。

「YES!ボーイには【死に戻り】のギフトをプレゼントしまーす!!」

「死に戻り?」 俺は眉をひそめた。まさかとは思ったけど……予想通りだ。

「死に戻りって、要するに死ぬたびにひどい目に合うやつだよな?」

「ギクゥ……」

おいおい、隠す気ないんかい。まあ、確かにそれくらいないと、何度でもやり直せる訳ないか。

「まあ、仕方ねえか……でも、これがあるならトライ&エラーでなんとかなるだろ」

「YES!失敗は成功のもとデース!」

……お前がそれ言うと腹立つな。でも、能力自体は悪くない。むしろ、かなり使える。

「この能力、どういう感じで発動すんの?」

「デッドしたら、ボーイはその日の朝に戻って、記憶もインストールされるデース!」


「そっか、なるほど。意外と普通の仕組みで助かったわ。あんたの事だから一癖ありそうだったし」

「それは心外デース……」

神は少ししょぼくれている。まあ、何はともあれこれで行けるだろ。

「じゃあ、そろそろ現世に戻らせてくれ。ラノベも読みたいし」

「OK、ボーイ、ルールは覚えてますね?」

「ああ、なんとかするさ」

「それでは、ボーイ!ファイトデース!!」

神の掛け声とともに、俺の体が不思議な渦に巻き込まれていく。

――――――――――――――――――――

「oh……大事なことを言い忘れました……まあ、また会えるし、その時でいいデース……」

――――――――――――――――――――――