新学期が始まって、少し経った頃…

栞が、相談して来た。



「舞、空くんとまた一緒のクラスになったことは運命だと思うんだ…だから、私…空くんに告白しようと思う。どう思う?」



「告白………そうか…うん…いいと思うよ…」



「ホント!じゃ…私、勇気を出して、空くんに告白してみる」



「そうか……頑張って!」



栞は、笑顔で…



「舞、ありがとう!」



って言った。



頑張ってなんて思ってもないのに、言ってしまった…



空は、栞のことをどう思ってるのかな?

もしかしたら、栞のことを好きなのかもしれない…

私なんて栞にも、私も空くんが好きって言えないでいるわけだし…

最初から無理に決まってるんだよね…





栞は、クラブの休憩時間に空に話し掛けていた。



栞は…



「舞、今…空くんにクラブが終わったら話があるって言っちゃった。あー!ドキドキする。舞、どうしよう?」



「そうなんだ…こうなったら頑張るしかないよ」



「そうだよね!頑張るねー。ありがとう」



舞は、笑いながら…心は苦しくて…苦しくて…

どうしようもないのだけど…平静を装った。



そして、クラブが終わってから

栞と空は、体育館の裏に消えていった…



しばらくすると、2人は恥ずかしそうに戻ってきた。



栞は、舞をトイレに連れて行き…



「空くんに告白して、付き合って下さいって言ったら…いいよって言ってくれたんだよー」



「そうなんだ…良かったじゃん。栞、おめでとう!」



「舞、ありがとう。舞のおかげで勇気が出たんだよ」



「ううん。私は何もしてないよ…栞の力だよ」



舞は、栞と別れた後…

近くの公園に寄った…

空が教えてくれた公園…



涙が止まらない…



私の、初恋は終わった…



これから、2人は付き合っていく。

それを、傍で見なきゃいけないんだから、立ち直らなきゃ舞…

そう、言い利かせた…



そう、思おうとしても、涙はとめどなく流れた…

分かっていても、どうしようもならない気持ちがそこにあった。



私は、影から応援するよ。空のことを…



舞は、杉山が言っていたことを思いだした…

空を助けるためには、私の初恋は実らないと杉山さんは言った…

もし、その通りだとしたら…

これは、私の試練だ。

この、悲しい気持ちも、空のためだと思うしかない。

そう、自分に言い聞かせて…

舞は、家に帰った。



お母さんが、笑顔で迎えてくれた…

舞も笑顔で



「ただいま」



って言ったけど…



夕飯を食べて、お風呂に入って…

部屋に戻ると、また涙が出てきた。



翌日、起きると…目が腫れている。



―――どうしよう…栞に何か言われるかも…



案の定、栞は



「舞、おはよう。どうしたの?目が腫れてるよ…」



「昨日、寝る前に泣ける映画見てさ…そしたらこうなっちゃった」



そう、言って誤魔化した…



空が登校してきて、恥ずかしそうに栞に



「おはよう」



栞も、照れながら…



「おはよう」



って言ってた。



空は、ついでのように



「藤本、おはよう」



そう、言った。



そして…



2人が付き合っていることは、たちまちクラスの噂になった。



休憩時間になると…

空と栞は、楽しそうに話をしている。



それを、舞は毎日…目にすることになった。



2人は、いつも仲良さそうにしている。



それを、見る度に…

何でもないような顔をしながら…

本当は、心がちぎれるくらいに…苦しかった…



そして…

栞と空が付き合ってから、栞と舞の距離も遠くなった気がした…