それから、1年経っても

子どもは出来なかった…

周りの子どもを見る度に、羨ましくて…



空が、義妹の子どもを可愛がるその姿を見るのも辛かった…



舞は、空に…



「空、不妊治療の病院に行ってみない?」



勇気を出して…そう言ってみた。



「うん…そうだな。一度調べてみた方がいいかもしれない…」



空は、そう言ってくれた。



そして…

不妊治療で有名な病院に予約をして行ってみた。



病院に行くと…人が多い。

妊婦さんも多く…

空は、恥かしかった…



「結婚して3年経ってますね…これから詳しく検査をしていきましょう。不妊治療には夫婦の協力が必要です。旦那さんも協力お願いしますね」



医師は、そう言った…



それから、舞の検査が始まり…

空の検査も始まった…



検査の結果…



舞には異常は無かった。



空の検査の結果は…



空の精子の数は、一般男性よりも少ないことが分かった…

医師の話によると…

抗がん剤の治療による影響かもしれないと…





  *****





やはり、俺が原因だったか…

そうかもしれないと思った…



空は、子どもが出来ない原因は自分にあるのかもしれないと思っていた。



みんなで集まる時に

羨ましそうに見ている舞を…空は知っていた。

だから、舞が病院に行こうと言った時

俺も行こうって言ったんだ…



舞を悲しませているのは、俺が原因だったんだな…



医師は、精子の数は少ないかもしれないけど…

いないわけではないから、これから頑張って治療していきましょうと言った…



「舞、ごめんな…俺が原因だったな…」



「仕方ないよ。空は、あんなに苦しい治療をして元気になったんだから…私は、空が生きていてくれるだけでいい…。それに、まだ希望はあるよ。一緒に頑張ろう?」



「舞、ありがとう。治療には、舞もしんどい思いをするかもしれない…本当にごめん。でも一緒に頑張りたい…」



「私なら、大丈夫だよ」



「舞、ありがとう。俺は、舞と結婚して本当に良かったよ…」



「私もだよ。私も空と結婚して良かった。幸せだよ」



それから、色々な治療が行われた…



タイミング法をやってみたけれど…

成果はなく…



続いて、人口受精も数回してみた…

でも、とにかく治療費が高くて…

家計を圧迫してしまう…

貯金を切り崩して、2人は治療を頑張った。



でも、2年が経過しても

子どもは出来なかった…



費用が、あまりに高いし…

舞の負担も大きい…



空は、舞に…告げた。



「舞、とりあえず治療を休憩してみないか?」



「なんで?一緒に頑張ろうって言ったじゃない?」



「舞の負担も大きいし…費用も高いし…俺は心配なんだ…」



「私は、大丈夫だよ。でも費用が高いのは、家計も大変だもんね…。治療をしてると社員で働くのは難しいし…」



「いったん、休憩してみよう。舞のために頑張りたいけど…俺は、舞と2人でもいいんだよ」



「私は、空のために…って思ってた。私だって、空と2人でもいいんだよ」



「舞…ありがとう。少し、子どもの事から離れて…二人の時間を過ごそう」



それからは、2人でドライブに行ったり、旅行に行ったり…

2人の時間を楽しむようにした。



この時の俺は…子どもはもう出来なくてもいい…

そんな…気持ちになっていた…