あれは一年生の夏休み。使われなくなった病棟で起きる怪異を解決して欲しいという依頼を受けた薫先生が、実習がてら私たちに任務を手伝わせた時のことだ。
原因が井戸にあると判明し、井戸埋立清祓の神事を行うことになって神事に必要な酒と米を急遽コンビニで揃えた。
薫先生は「こういうのって気持ちだから」と笑っていたっけ。
「小遣い出し合えば、何とかなるだろ」
慶賀くんの提案にみんな頷く。
「あとは場所と日程やな。社務所に神事の企画書と申請出せば、早くて二週間後には本殿使わせてもらえるやろ」
二週間後か、と鬼市くんが難しい顔を浮かべる。
確かに平時なら準備なども含めて二週間後くらいが丁度いいかもしれないけれど、鬼市くんは今日祈願祭を一人で行うつもりだったくらい焦っている。
自分にできることは今すぐにでもやりたい思いなんだろう。
どうにかして早められないかな。
「あ……そういえば鬼市。今週末、里で新嘗祭やる、でしょ」
瓏くんのつぶやきにみんなが顔を合わせる。そして。
「それだ!」



