「どういうこと……? 祝詞の効果が変わったの?」
でも祝詞の効果を変えるには、祝詞の中の言葉を変える必要がある。それ以外に違う効果を得る方法はないはずだ。
だとしたら、変わったのは何故だろう?
特別なことをした覚えはないし、私は何も────。
「……あ、もしかして春休みの?」
一年生が終わって二年生に進級する前の春休み。一年生で色々無茶をして体の中の言祝ぎの総量がガクンと減ってしまった私はかむくらの社で修行を行った。
自分の中の増えた呪を言祝ぎに転じさせる修行だ。
思えばあれ以降、祝詞の制度や威力が増した気がする。実習の授業で薫先生に褒められることも多かった。
方賢さんにあの祝詞を奏上したのは、残穢を浴びた後。つまり私の体の中の言祝ぎが減少していた頃だ。
つまり言祝ぎが多い正常な状態であれば、私の祝詞はかなり強い効果を生むことができる……?
ふわぁ、と欠伸が零れて目を擦る。
今考えるのは止めよう。明日この考察を来光くんに聞いてもらって、一緒に考えてもらった方がいい。
もう一度欠伸をして布団に潜り込むとすぐに瞼は降りた。



