丁度大根を頬張られていた時で、煮汁とともにゴクッと喉が鳴る。
「初めてだったが、大変興味深かった。体を使うことは慣れているが、形の良いものだけを選別できる目を肥やす必要があると分かったよ」
「納めている先の人は私たちも知らないんですけど、上流階級の方たちとだけは、聞いています」
「大変な仕事だな」
「あの、両親とは…どんなお話を?」
単なる話題作りではあったけど、両親が旦那様に余計なことを話していないか、気にもなっていた。
私が旦那様の顔の傷を気にしたのと同じように、お母様も気にされていたから、直接聞いていないだろうかと気がかり。
でもそれを旦那様に、〝母が余計なこと、言いませんでしたか?〟とは聞けるはずもない。
それでは勘づかれてしまって、気分を害される。